アンデルセンのナイチンゲール

2006年07月15日
 皇帝は美しい歌声を聞かせてくれるナイチンゲールがとてもお気に入りだった。

 しかし或る時ふと機械仕掛けの小鳥に目を奪われ、その愛しき存在を忘れてしまう。

ナイチンゲールナイチンゲール
by ハンス・クリスチャン・アンデルセン

 それはそれは大好きで大好きで仕方なかったはずなのに、その存在をふと忘れてしまうなんて…。
 
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posted at 2006/07/15 22:12 | Comment(3) | TrackBack(0) | 絵本批評

ゴッホを想うゴーギャンの一枚

2005年11月13日
 ゴッホと言えば、やはりヒマワリだろう。

 数多くのひまわりを描いたゴッホ。彼のことを思い浮かべる時、私の脳裏に浮かぶのはこの一枚である。

「still_life_with_sunflowers_ on_an_armchair_by_gauguin」 by a-taro肘掛椅子に飾られた向日葵
by a-taro karma

このヒマワリがキャンバスに描かれたのは、ゴッホの死後11年目の夏。その数年後ゴーギャンはこの世を去った。

 彼、ゴーギャンがどんな気持ちでそのヒマワリを飾り、どんな想いを込めてその絵を描いたのか。その経緯を知った時、私の眺めていたヒマワリは涙で歪んだ。
 
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posted at 2005/11/13 23:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本批評

What's Up?

2005年08月04日
 何もネタに困ってるわけじゃない。

ブリトニー スピアーズ [PP-0494] [ポスター]
ヘヴンリーブリス [ポスター]
What's Up?

 まぁたまには遊び心ってモンも必要かなぁと…。
 
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posted at 2005/08/04 17:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本批評

懐かしき「泥んこのワンコ」

2005年08月04日
 世界絵本箱という小さな箱の中で、懐かしいワンコを見つけた。NHK-BS2のその小さな番組枠で、そのワンコは走り回る。

―世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本―「どろんこハリー」絵本「どろんこハリー」
ジーン・ジオン著/渡辺茂男訳
マーガレット・B・グレアム絵

その昔、君は絵本の中で大人しくじっとしていたのに…。
 
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posted at 2005/08/04 13:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本批評

「四日間の奇蹟」のミステリー

2005年07月30日
読書家や小説家、批評家が集うサイトに出入りしているせいか、ふと本を読んでみたくなり久しぶりに身構えた。

浅倉卓弥著 四日間の奇蹟四日間の奇蹟
 浅倉卓弥著

内容はともかく、五百頁もの文庫本を一気に読んだのは初めてかも知れん。で、本などとんと読まない人間がどうしてまた読みたくなったのか。
 
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posted at 2005/07/30 17:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本批評

風また風と出会うジョナサン

2005年07月14日
高2の夏休みだったか、この本を旅先の北海道に持っていった記憶がある。初めての一人旅で、“山また山”と巡るはずだったのに、あっちこっちで“人また人”と出会いを重ね、結局静かに読む暇などまったくなかった。

かもめのジョナサン―Jonathan Livingston Seagullかもめのジョナサン
Jonathan Livingston Seagull
リチャード・バック著
五木寛之訳

で、今にして思えばこの本、どう考えても絵本である。寓話なんてレビューも見受けられるが、高2にもなろう男子が読む本だったのだろうか。ちと恥ずかしい。
 
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posted at 2005/07/14 17:08 | Comment(2) | TrackBack(0) | 絵本批評

寡黙なアンジュールの色と心

2005年07月11日
その絵本に色はない。

素朴なデッサンの荒いタッチは、その世界の犬のように飾り気がなく、寡黙な彼の気持ちを補う言葉さえ携えていない。

アンジュール―ある犬の物語 ガブリエル バンサン (著)アンジュール
―ある犬の物語―

ガブリエル・バンサン著

だが、その犬の悲しき泣き声が聞こえ、孤独なため息が伝わり、言葉なきはずの彼の声が聞こえてくる。
 
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posted at 2005/07/11 16:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本批評

虫と我が舞い散る煩悩の火炎

2005年06月06日
先日のとある日曜日、NHK教育「新日曜美術館」がこの炎の絵を紹介していた。そして今日、テレ東「美の巨人」が追っかけ紹介をしている。同じ一枚の絵にしても、番組によって局によって随分と扱い方が違っているものだ…などと言いつつ、自分も後追い記事を書いている。

炎舞 炎に舞う蛾の群れの部分炎舞に舞う蛾群

こういうネタを“大既出”というらしいが、好きなモンは好きなのだから仕方ない。
 
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posted at 2005/06/06 00:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本批評

天使が奏でるブグローな絵画

2005年04月26日
この古典的な一枚の絵画をネット上で見つけたのはもう随分前のことである。

Song of the Angels by W.A.Bouguereau天使の歌 ウィリアム・ブグロー
Song of the Angels W.A.Bouguereau

この絵がブラウザに描画された瞬間、その甘い色合いと包み込むような優しい世界観に一気に惹き込まれ、私は迷わずPCに保存した。以来ずっと大事に仕舞い込んでいたのだが、作者の名前は知らなかった。ふと思い出し、ファイル名を検索してみて初めて知った。

ウィリアム・ブグロー…、私はまったく知らなかった。そんな名前の画家がこんな絵を描いていたなんて。
 
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posted at 2005/04/26 07:47 | Comment(0) | TrackBack(1) | 絵本批評

ちびくろさんぼと日雇い人夫

2005年04月14日
見当ハズレな“差別”意識のヤリ玉に上がったあの作品がまもなく帰ってくることをTVが伝えていた。細かいあらすじまでは覚えていないが、トラとバターのエピソードはとてもユニークでしっかりと記憶に残っている。

誰かが危惧した黒人に対する潜在的な差別意識というものが、あの話を読んだ私にも植えつけられているのだろうか。

ちびくろ・さんぼちびくろ・さんぼ
ヘレン・バンナーマン(著)
フランク・ドビアス(絵)
光吉夏弥(訳)

可愛く賢いさんぼと散歩中に出逢ったトラたちのお話

ある日突然“差別意識”という言葉が現れこの絵本を絶版へ追い込んだらしいが、“真っ黒な消臭剤を真っ黒な体操選手で面白可笑しく表現した真っ黒なCF”を思い出す。あの作品をCM放映したエステー化学のブラックさの方がよっぽど差別意識を感じる。
 
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posted at 2005/04/14 07:58 | Comment(0) | TrackBack(2) | 絵本批評

SF夏への扉と冬の山下達郎

2005年04月02日
本嫌いの私が珍しく一気に読み斬ってしまった小説がある。SFの大家、ロバート・A・ハインラインの『夏への扉』である。奇想天外でロマンティックで超ハッピーエンドなこのSF小説は、山下達郎のアルバム『 RIDE ON TIME 』に収められた一曲『夏への扉』をインスパイアさせた物語とも言われているとからしいとか。

夏への扉夏への扉
ロバート・A・ハインライン
RIDE ON TIME
RIDE ON TIME
by 山下達郎

発明家は猫を飼っていた。彼は、といってもその猫のことだが、大方の先入観通り寒さが苦手で、冬の寒い日は必ず飼い主を連れ歩きまわり、家中の扉という扉をすべて開けさせる。結局すべての扉の向こうが、まだ憎むべき冬の日であることを確認すると諦めて眠ってしまうのだが、それが飼い主にはやっかいな癖だった。
 
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posted at 2005/04/02 04:40 | Comment(4) | TrackBack(0) | 絵本批評

フラッシュだけど素敵な絵本

2005年01月26日
遅ればせながら、とある絵本の存在を知った。形もスタイルも絵本とは程遠いモノである。しかし、私には一冊の絵本に思えた。

その短いFLASHの絵本には、どこにでもある大切な物語が、なにげなく納められている。

WALKING TOUR

サイト⇒リンク
 
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posted at 2005/01/26 05:29 | Comment(4) | TrackBack(0) | 絵本批評

カメラを使わない写真家

2005年01月22日
ある報道番組で紹介されていた、ある若手女性写真家の作品に驚いた。

写真家 澤田知子
Tomoko Sawada web
サイト⇒リンク

ID400ID400

自ら400人の変装を繰り返し、400人の外見から400人の内面を演じ分けた彼女自身が被写体になった「ID400」は、街角のありふれた証明写真機で撮影されたという。

写真家という職業というもの、必ずしも高価でりっぱなカメラは必要ないらしい。
 
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posted at 2005/01/22 04:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本批評

45回転の東映動画

2004年12月15日
いやはや懐かしいものが出てきてしまった。

東映長編漫画
ちびっこレミと名犬カピ (挿入歌レコード)
 たのしいカラーまんが入り
   挿入歌・レミのうた
      ・バルブランの子守唄

この長編漫画映画は実際劇場にも見に行ったのだが、結構幼い自分にはヘビーな内容でそれはおいおい泣いた記憶がある。数年前ケーブルTVでも放映を録画でき保存しているのだが、ちょっと不安で見てはいない。

「ちびっこレミと名犬カピ」
 
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posted at 2004/12/15 08:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | 絵本批評

マックナイトは海への玄関

2004年12月07日
トーマス・マックナイトの絵が好きである。

NANTUCKET
by THOMAS McKNIGHT
NANTUCKET by THOMAS McKNIGHT海が見える風景が好きだ
 もちろん海も好きである

「海ゆ〜かば〜♪」

海軍軍人の息子であり孫でもあるからだろうか。「♪海行かば」を小学生の頃から口ずさんでいた。

NANTUCKET THOMAS McKNIGHTで検索してみると、ポスター屋さんらしきサイトが見つかった。
site⇒LINK (non-affiliate)

 −・−・−・−・−・−

ところで、
一昨日仕事中に足を挫いてしまった。
激痛が走ったがすぐに引いたのでその日はほっておいた。帰りに買い物に出かけてもなんともなかったので、結構歩きまわってもいた。

しかし、一晩明けると全く歩けなかった。激しい痛みにはなんとも言えぬ懐かしさを感じる。嫌な予感が湧いてきたので無理をして病院に行ってみた。

「折れてますよ!」
(え?)

「ギブスしましょう!」
(…えぇぇ???)

懐かしさは正しく、予感は的中していtた。

以前にも足の指の付け根を薄利骨折したことがあったので、たぶん今回も薄利骨折だろうと思っていた。

「でも薄利骨折でしょ?」
(経験者だから知ってるよ!)

「いや、骨ですよ!」
(え?マジ?…あたた…痛ぁ)

「小指の骨が折れてます!」
(いとも軽く言うし…)

うつぶせになりギブスが固まるのを待っていると先生はさらに続けた。

「リハビリも行きましょうね!」
(リハビリ?もう?…おいおい、
 まだギブスも固まってねぇじゃんかぁ…)


「いえ、松葉杖の練習ですから!」
(松葉杖?松葉杖も要るの?)

松葉杖どころか、
看護婦さんは車椅子を押して戻ってきた。
(えぇぇ?車椅子???…おいおい、マジかよ〜?)

車椅子に乗せられ、
先生の横に“置かれた”私はさらに訊いた。

「あのー、どのくらいかかりますかねぇ?」

「まぁ2週間くらいはこのままだね!」
(2週間…あちゃちゃ…痛ぃぃぃ)

車椅子は松葉杖を練習するリハビリ室までだったが、診察室には歩いて入ったのに、出る時は車椅子なんて…。

(恥ずかしい〜っ!…財津風)

 −・−・−・−・−・−

かつて私はちょうど今頃、やはり仕事中の事故で足を挫いた。

スキーシーズン直前のギブスはそれはそれは痛かった。

「あのー先生…どうせなら
 ギブスをスキーブーツの形にしてくれませんかねぇ?
 そしたらそのまま板が履けるんですが…だめ?」

ふと思い出したので、冗談でその話の話をすると診察室は沈黙した。
(冗談通じないし…)

痛ぁ〜
…冷たい雰囲気にあちこちが余計に痛くなった。

 −・−・−・−・−・−

慣れない松葉杖でのたった数百メートルの家までの道に、思わぬ大汗をかいてしまった。
こりゃ杖使ったってどこへも行けやしない。家に帰るだけでへたばってしまった。

その絵は玄関にずっとかけてあった。
マックナイトの絵なんて、このところほとんど見ていなかった。へたばって靴も脱げず玄関で立ち尽くした私は、久しぶりにその絵に見入ってしまった。

風景画が必要になった途端にその絵が見えてくるなんて…。

この分だと当分のこと
 風景画が必要になりそうである

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posted at 2004/12/07 03:06 | Comment(13) | TrackBack(0) | 絵本批評

D・カーネギーは『人を動かす』

2004年11月11日
初めて読んだのは幾つの頃だったろうか。
少なくとも20年は昔だったと思う。

『人を動かす』
デール・カーネギー著

この本は“自己啓発の原点”とかとも書かれているが、最近では「自己啓発」という言葉に怪しい響きを感じるので、私はそんな評価をしたくない。

  −・−・−・−・−・−

どんなことが書いてあったか正確には思い出せないが、印象深かったいくつかの例え話を思い出す。

◆名前はその人にとって“最も心地よい響き”である

--人にとって、自分の名前は誰でも心地よい響きである。その名前を覚えてくれて、さらに使ってくれる人には、無意識に良い印象を持ってしまうというもの。

…ふむ、
名前をすぐ忘れてしまう自分は要注意かも知れない。
一度しか会わず名前を忘れてしまった人などが、自分の名前を覚えていてくれたりすると、驚きつつも信頼感が湧いてくるのはこのことか。

そう言えば、田中角栄氏の秘書をしていた早坂茂三氏が討論番組で話しているのを見るたびにこの項目を思い出していた。彼は必ず相手の名前を呼びかけて話し始めるのだ。
「映太郎さん!その通りですよっ!」なんて風に。

◆自分の話を真剣に聞いてくれる人を人は嫌わない

--人はいつでも自分の話が一番楽しいというもの。

…ふむ、
そう言えばこの項目の例えが面白かった。
青年と老婆の話が載っていたと思う。

青年が旅の話をすると、老婆はすぐさま自分の思い出を話し始める。自分は全く話をせず、老婆の思い出話をたっぷりと聞いた青年は、帰りがけに老婆に言われる。
「また旅の話を聞かせてくださいな!」

気をつけなくては。
他人のブログにコメントつけると、いつも長々と書いてしまう私には特に要注意かも知れない。

“仕事に役立つ話”的な項目もあった。
◆競争心は動かぬ人を動かす

--ライバル意識を刺激すると叩いても動かぬ人が自分から動き出すというもの。

成績の伸びない工場に抜擢された新しい主任か何かの話が例えにあった。

交代して帰ろうとするチームのリーダーに、新しい主任はその日の実績を聞くと床にチョークで書き記す。ただの数字を。
その数字を見た次のチームのメンバーは、上回る自分たちの実績を自慢し、数字を勝手に書き換える。

ふむ、
ちょっと作り話っぽいが、わかる気もする。
昨比だとか予算比だとか、社内成績一覧表なんてものをいつも見ている人には結構刺激的な例えかも知れない。

  −・−・−・−・−・−

営業を仕事とする人にはかなり役に立ちそうな内容だった。営業マンの出てくる例え話も多々出てくる。

実際、
“元ネタは「人を動かす」だろう!”
って本がコンビニの小さい書籍売り場にいつも並んでいる。

この本を鵜呑みにして誰彼からも好かれたいとは思わない。でも、知っていて損はしないし、ちょっとした工夫で人間関係が少しでも潤うのなら、頭の隅にチョークで書き留めても悪くないと思った。本屋で立ち読みして目次の項目を読むだけで十分かも知れない。

好かれたくなくとも
 無駄に嫌われたくもない


今のところ、
頭の中にチョークで書かれたD・カーネギーの言葉は、消えていない。この手の本が大きな本屋の一角をいまだに占拠していることを考えると、
好かれたくて、さらに嫌われたくない人々も相変わらず消えてはいないらしい。
posted at 2004/11/11 16:16 | Comment(4) | TrackBack(0) | 絵本批評

幸福の王子と異常な涙腺

2004年11月06日
『幸福の王子』
 原作:オスカー・ワイルド

かつて幸福に人生を終え今は立派な黄金の像となり街に立つ王子と、群れからはぐれた一羽のツバメの物語である。好きな絵本の一つ、いや一番好きな絵本作品かも知れない。

内容をご存知の方はへたな要約の色付き部分を飛ばしてスクロールしていただきたい。


−−幸福の王子−−

ツバメは南の国へと渡る旅の途中だった。

ふと立ち寄った街の中央には、黄金の像がそびえ立つ。

かつてそこで幸福に一生を終えた王子の像だった。

羽を休めるツバメは、晴れた夜の一滴の雨粒にふと王子の顔を見上げる。

それは雨粒ではなく、金色に輝く王子の嘆きの涙だった。

「街の人々がこんなに貧しさに耐えていたなんて僕は全く知らなかった。」

話を聞くツバメに王子はある使いを頼む。

「街のはずれの貧しい婦人に私の剣のつかのルビーを届けてくれないか」

ツバメは王子の願いを聞きいれる。

 −・−・−

ツバメにはすでに辛い寒さだった。

明日こそはと思いつつ、ツバメは日々王子の願いを聞き入れていく。

次の日もまた次の日も、宝石や金の欠片を人々に届けていく。

「寒さは辛いけど、なぜだか体が温かくなりますよ。」

ツバメはすでに南へと渡るには遅すぎることを知っていた。

 −・−・−

そしてとうとうツバメは力尽きてしまう。

最後に残った力でやっと羽ばたき王子の肩に乗ると言った。

「私はもう旅立ちます。

南の国へではなく、死の国へだけど。

さよなら、愛する王子様。」

王子は言った。

「君は長居しすぎてしまったね。

私も君を愛しているよ。」

ツバメは王子のくちびるにキスをして、足元に落ちた。

その瞬間、像の中で何かが壊れるような奇妙な音がする。

鉛の心臓が二つに砕けた音だった。

 −・−・−

すっかりみすぼらしくなった王子の像は台座から取りはずされることになる。

新しい像の材料を作るため、その体は溶鉱炉で溶かされてしまう。

炉の中に溶けずに残った二つの鉛の固まりは、無造作に町外れに捨てられた。

そこにはツバメの亡がらも横たわっていた。

 −・−・−

神様は天使を使わせる。

「街で最も貴いものを二つ持ってきなさい」

天使は鉛の心臓とツバメの亡がらを天国の庭に届けるのだった。



幸福の王子
 原作:オスカー・ワイルド
 訳文:中山知子
 挿絵:アンヘル・ドミンゲス、テオ・プエブラ
 「小学館世界の名作10」版

子供に読んで聞かせるのは非常に苦労する作品である。
ツバメが王子にキスするシーンはさらりと読めたことがない。

最初に読んで聞かせたのはかなり早過ぎた。
子供には涙どころか何の反応も無かった。それでも聞かせたくて聞かせたくて、涙をこらえ読んでいた。

親の自己満足だろうか

実際親と同じ反応をするかなど、全くわからないし、期待すること自体が親の身勝手なのかも知れない。

花を見て
「綺麗だね!」というのか

その花の横を轟音を立てて通りすぎるバイクを見て
「カッコいいね!」というのか

考えてみれば、これからどんな反応をしていくのか、半分ほどは親次第とも思えてくるが、逆に半分でも親の価値観を受けとってくれたら十分だろうとも言える。

父「私はこの作品が好きだ!君はどうかな?」

同じものを見て

同じ感想を抱きたい

これが本音には違いない。

  −・−・−・−・−・−

それにしても、
初めて読む作品ならまだしも、何度読んでも涙してしまう作品というもの触れる度に思う。私の涙腺には学習効果といった言葉は存在しないのか。

この記事を打っていて再び泣いてしまった私の涙腺は過敏すぎるのだろうか。

誰か教えていただきたい。

−・−・−・−・−・−・−・−

--追記---
この記事を投稿するにあたって、あらすじを簡単に添えるつもりだったのだが、絵本というもの最低限に簡略化されているからか、どの部分も省きづらかった。
知らない方にこそ知って欲しいあまりに少々内容を書き過ぎたかも知れないが許していただきたい。
--追々記---
ちなみに私が読んでいたは中山知子氏文の「小学館世界の名作10」版なのだが、記事投稿現在手元にはなく要約は青空文庫(サイト)内の結城浩氏訳を参考にした。
posted at 2004/11/06 16:30 | Comment(2) | TrackBack(1) | 絵本批評

ぜんざいには塩がいる

2004年10月31日
甘〜いぜんざいには

 塩が必要だという



甘さだけのように思えるぜんざい。

そこに加えられた一つまみの塩が、砂糖の甘みを引き立てるだけでなく、単純な味わいに一際深みを出してくれるそうだ。隠し味というものはみなそういうものだが、そのあまりに正反対の二つの味が互いに反発せず一つに調和し、あの優しい味わいを作り出してくれることを冷静に考えてみれば、ぜんざいの椀の中の相反する二つの調味料は、互いに必要不可欠な存在だといえるだろう。

  −・−・−・−・−・−・−・−

17歳の時に読んだ本である。

 
  ぜんざいには塩がいる
  ―障害児教育の原点―
    田村 一二著(柏樹社 1980年)
 

                


かれこれ24年も前のことになる。母親が公文の数学教室を開設していたせいもあり、実家には教育関係の新刊本がよく届いた。なにげなく置いてあったこの本のタイトルに目が止った。

 ぜんざいに塩?…ぜんざいってぜんざい?

料理を少しでもかじった方ならトリビアでもなんでもないが、男子高校生の私はぜんざいなどに興味はなかった。

ゆえに、完全100ヘーモノのトリビアだった。

トリビアも

 知ってる人には

  だから何?


そのトリビアにまんまと釣られた。
本などほとんど読まなかった私がなぜか一気に読んでしまった。

◇甘いぜんざいにも塩が必要である
◇障子のもろさが人の優しさを育む
◇・・・・・?
 
24年も前に読んだ本である。残念ながら細かい内容はほとんど覚えていなかった。
しかしその意味は漠然と、でも決して消えず記憶に残っている。

人の命に優先順位は存在しない

こんな考え方は至極当然である。しかしこの本が意味していたのはそれだけではない。
人々は単に平等に存在するだけではなく、それぞれ様々な人々が互いに必要不可欠な関係を持ちながら生きているという考え方である。

ここでの様々な人々とは、
様々な障害に立ち向かう障害者の人々を言っている。

  −・−・−・−・−・−・−・−

勘違いを含んだ冷めた考え方で、この本をまとめてしまうこともできただろう。

人間の進化の歴史は、遺伝子情報の継承ミスの歴史とも言える。

太古の生命が、遺伝子情報の継承を一度もミス(突然変異など)をせずに繁殖を繰り返してきたとしたら、その姿や形は何千億年過ぎようとも変化はなく進化もしない。

進化には突然変異の可能性が必要なのだ。

  −・−・−・−・−・−・−・−

そんなことを言っていたのではないことを知っているつもりだ。

心と心、魂と魂のレベルにおいて、

すべての人と人の間には

お互いが決して欠くことのできない

存在同士である理由が必ずある


そんなことをこの本が言っていたのだと、今の私は理解している。

  −・−・−・−・−・−・−・−

今にして思えば、17歳の高校生が読みふける本ではなかった。
でも、結果的にはかなりの影響を残している。影響は時間とともに変化もするし、この本が本当に言いたかったことを現在の自分が正確に理解しているかは自信がない。

それにしても、
何気なく置いてあったとずっと思っていたが、もしかしたら私の目の付くところにわざと置いてあったのかも知れない。だとすれば、私は重ね重ね罠にハマったのかも知れないわけだ。

その本を選んだ親の考え方をミスせず継承できただろうか。不安が残る。

ちなみに、
カテゴリーは〔絵本批評〕であるがこの本は絵本ではない。
posted at 2004/10/31 17:44 | Comment(4) | TrackBack(0) | 絵本批評

盲導犬になったクイール

2004年08月11日
その記事を見つけて、久しぶりに銀座に出かけた。

≪写真で振り返るクイールの一生≫
…ドラマや映画で話題となった盲導犬クイールが活躍する姿を通じて、盲導犬の働きを知ってもらおうという写真展「盲導犬クイールの一生」が銀座松屋(中央区)で開催中…。(産経新聞)

モノクロ写真の中の彼の眼差しはみなとても優しく、完全とも思える信頼に満ち、瞳を見ているだけで癒される。
 
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posted at 2004/08/11 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本批評

サーカスのライオン

2004年07月29日
 勇気、プライド、優しさ…そんなモノを教えたくて、この絵本を子供に買った。

サーカスのライオン/川村 たかし著/斎藤 博之イラスト/ポプラ社/おはなし名作絵本 16/AMAZON
 
  
  サーカスのライオン
   おはなし名作絵本 16

 川村 たかし著
 斎藤博之イラスト
 ポプラ社/おはなし名作絵本
 
 町はずれのサーカス、年老いたライオンじんざにかつての雄姿は無く、懐かしいアフリカの風景を夢見て眠るばかりだった。
 ある日、世話係りの服を借りこっそりと散歩に出たじんざは、自分の火の輪くぐりを楽しみにしている少年と出会う。明日からは、彼の為、自分の為に若い頃のように頑張ろうと決意した晩、少年のアパートが火事になる。
 翌日、サーカスは歓声に包まれるが、…。

 
 手に入れた絵本をとりあえずと読んだ私は、案の定あっさりと泣いてしまった。
 
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posted at 2004/07/29 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 絵本批評
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