1ヘクタールの深紅の絨毯

2004年11月09日
訪れたマンションの通路から見下ろすと、一面に鶏頭が咲いていた。

赤い毛糸の絨毯
鶏頭は

 街畑染めて

  緋毛氈


真っ四角で、真っ平らで、真っ赤っかで、
…お寺でよく見る緋毛氈(ヒモウセン)を思い出した。

鶏頭=鶏のトサカのような花の形から鶏の頭と書いてケイトウと呼ばれる花

このケイトウ、最近の花屋ではどうもあまり好まれていないようだ。鮮やか過ぎる紅色と値段の手頃さから仏事には欠かせない存在だが、しかしそのイメージが拭えずに無骨な形も相まって、小さなアレンジでは仲間はずれになりがちだ。そんな固定観念から抜け出せない花屋さん方に人気があるのは大輪でもオレンジ系の種類や扇状のカラフルな小輪タイプだろう。特に色とりどりの小さい種類はアレンジされた花々の中では出しゃばらずさりげない。世の中控えめな性格が重宝されるらしい。

  −・−・−・−・−・−

花の価値にも色々あるが、ケイトウはどうして仏事で重宝されてきたのだろう。

絶滅危惧品種〔ムラサキ草〕の花は宇宙船地球号にとっての価値あるものだが、一年中花屋に並ぶ〔カーネーション〕にだってスタンダードな価値がある。十年に一度たった1時間しか咲かない〔ムジナモ〕の一期一瞬の価値もあれば、時には6ヶ月も咲き続ける〔胡蝶蘭〕の持続的な価値がある。

そんな特筆すべき価値ある花の中で、〔ケイトウ〕の価値は『さりげなさ』だろう。
さりげなく丈夫で、さりげなくどこにでもあり、さりげなく一際色鮮やかで、さりげなく長持ちする
墓参りする人の想いをいつまでもその色に残し墓地を彩る。萎れて首をもたげてもなお鮮やかな色は長く墓標を照らしてくれるのだ。ついでに値段もさりげない。
実際のところは、墓参に一番多用される菊には無いあの紅色の鮮やかさがひとつの理由として考えられる。

  −・−・−・−・−・−

ところで緋毛氈とは?

普段は縁のないお寺の本堂などに法事で入ると真っ赤な絨毯が敷いてある。いわゆる緋毛氈というものだ。

だがこの緋毛氈というもの、はっきりとは知らなかったのであらためて調べてみた。

緋毛氈…ヒモウセン
=寺院などでよく使われる深紅の敷物
毛氈…モウセン
=敷物、絨毯、カーペット
緋…
=紅、深紅色

私はすべて〔緋毛氈〕だと思っていたが、〔緋〕の〔毛氈〕だったとは…。
緋が紅色を意味するなんて知らなんだ。

住職の法話で知ったのだがあの毛氈、本当の本物はかなりの値段がするという。
メーターでウン万円という価格とその広さから計算するのは恐ろしいことだが、最近ではいわゆるフエルトの毛氈モドキもあり、その値段ゆえにかなり重宝されているらしい。消耗品の経費削減か、はたまた仏具製品の価格破壊か。お寺の本堂にまでも世間の風潮は押し寄せているのかも知れない。
実際傷む度合いによって使い分けているはずである。私たちが法事の折で踏んでいるのは毛氈ではなくフエルトの方だろう。

法事待つ

 庫裏を染めるは

  ?毛氈?!

「鶏頭」を抜き、季語無しの川柳にしてみた。とはいえ川柳にしたからといって皮肉を込めてもいないし、そこに悪気はない。

ようするに毛氈というもの、緋毛氈もあれば非毛氈もあるということだ。

ただそれだけのトリビアである。
posted at 2004/11/09 13:50 | Comment(4) | TrackBack(0) | 風景雑感
この記事へのコメント
子供のころ、鶏頭の花を毛糸の花だと思っていました。
だから、このゴツゴツした花が毛糸になるんだ!と勘違い。(苦笑)いつぞや、鶏の頭に似てると聞いた時、幻滅した覚えがあります。

私はトリビアと思いふふん!と言いたいところを、ちょっと?かなり?恥ずかしい記憶違いがあります。(笑)
Posted by KAN at 2004年11月10日 00:17
>KANさん、こんばんわ!
毛糸の花も悪くないですよ!
子供達に教える時に、わざとそう覚えさせるのもいいかも知れませんね。

私が花屋にいる時の話、
ケイトウの大輪種にゲンコツくらいもので肌色に近いオレンジ色のがあるんですが、私はそれが苦手でした。
あの独特なシワに肌色は、何度見ても脳みそに見えちゃうんですよ。かなり気持ち悪くて個人的にはほとんど仕入れませんでした。
Posted by 映太郎 at 2004年11月10日 00:35
こんばんは!!
「ケイトウ」に関してですが、
あたしも映太郎さん同様、何度見ても“脳みそ”に見えてしまって
お花屋さんに行っても手が出せずなんです。母親は逆にケイトウの
花が好きで買おう買おうと言うのですが…。

というか、映太郎さんお花屋さんで働いてたんですか?
あたし今、ものすごくお花屋さんで働きたいのです(笑)
余談ですが……
Posted by やすよ at 2004年11月10日 02:23
>やすよさん、こんばんわ!

物凄く小輪タイプで扇形のカラフルな種類はオススメです。可愛いですよ。名前は忘れましたが…。全然脳ミソっぽくないですから。

ちなみに、
私は花屋を開いておりました。
小さな店ですが、超コダワリの花を!と営業してましたが、今は訳あって勤め人です。

ちなみにU、
花屋さんで働く前にゴミ屋さんで1年ほどバイトして見るといいです。と、いうのは気持ちの問題なのですが。

花屋の仕事って店の規模や形態やシステムによって違いますが、小さい店ほどゴミをいじくる機会が多く、はっきり言ってゴミ屋さんと変わりません。

仕入れた花の余分な葉や茎を切り落とし、前日前々日に仕入れた花の傷んだ部分を切り落とし、最後に売れ残った花を捨てていく。

憧れの強い人ほど、そのギャップからすぐ止める人が多いものです。憧れを一旦心の奥底にしまい、一度花屋の店内でじっくりと店員を観察するといいのではないですか。

夢を叩きつぶすような事を書いてごめんなさい。
でも、仕事としてはすばらしい仕事と自負していましたから、自分なら勧めます。

すでに長くなってますが、続きは記事にでも書きます。

花屋の頃の事を書いた記事がありますので、参考までに⇒http://a-taro-log.seesaa.net/article/767094.html
Posted by 映太郎 at 2004年11月10日 03:05
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