ケセラセラで淡麗な商売っ気

2005年11月27日
 このCM、結構気に入っている。

本家ドリス・デイバージョンCD 「<STAR BOX>ドリス・デイ」 by ドリス・デイキリン淡麗グリーンラベルTVCM「バス停」篇

 Que sera sera♪
  Whatever will be will be♪

出演 筒井道隆
 歌 ケセラセラ(オリジナルアレンジ)

 微笑ましい物語になっていて、とても素晴らしいCMである。
 
 たった15秒で、誰かと誰かが不意に出会い、いつしかそこに友情や愛情が芽生え、そしてまた不意の別れがある。

 パターン化したアメリカ映画など、何十年も前からこの構成の繰り返しでしかない。



 それにしても淡い雰囲気のCMである。ほわんとした後味が堪らない。商品コンセプトの「淡」という文字をそのまま映像にしたつもりなのか、まぁその企画意図は十分伝わってくる。

 曲目選びもそんな気分で選んだのかは知らないが、個人的にはまんまとその意図にハマってしまった。

 そのコンセプトの淡さと物静かで何気ない姿勢に、ふとかつて花屋で初めてバイトした頃のことを思い出す。色とりどり様々な種類の花苗を選んでいたご婦人が、迷いに迷ったあげく私に尋ねた。

 客「この色もいいしあの色も欲しいんだけど、どうかしら?」
 私「…、くどいから、やめたほうがいいのでは…?」
 客「あら、あんた商売っ気ないのねぇ…(笑)」
 私「・・・。」



 これも買え!あれも買え!迷っているなら全部買え!

 CMなんて本当はそんなモンである。とにかく買って下さい!いやそれ以前にとにかく名前を覚えて下さい!いや覚える気がなくても、とにかくCM見て下さい!

 淡いCMを作るCM製作会社も、そのCMを採用するクライアントも、どこか商売っ気が感じられない。CMのほわんとした後味に、売りたいかなという意気込みがかき消されてしまっているのだろう。本当に売る気がないわけはないのだから。

 とはいえ、短くも淡く後味の良い物語を見せてくれたことには、結局のところとても満足してしまっているので、そんなカモフラージュも大して気にはならない。

 ビールの大御所キリンビール株式会社の余裕を、結果的にたっぷり見せ付けていて、企業PRとしても十二分なコマーシャルではないか。

 キリンビール株式会社
  サイトトップ⇒リンク
  CM紹介頁⇒リンク



 ところでこの歌、微妙な語り口と姿勢がちと面白い。たしか歌詞の中で、将来を夢見る娘がふと母親に尋ねるのだが…。

   私は綺麗になるのかしら〜♪
    お金持ちになるのかしら〜♪

 すると母親はおもむろに大声で歌いだす。

   ケ〜セラ〜セラ〜♪
     なるように〜なる〜♪
   先のこと〜など〜♪
     わから〜ない〜♪

 おいおい、「心配しなくても大丈夫よ。きっとなれるわよっ!」って、答えてあげなきゃダメじゃんか…。

 ずいぶんな母親だな。

 そんな歌詞を紹介しているページがあった。
  サイト⇒リンク



 念の為記しておくが、冒頭のアルバムはCMで使用された音源ではない。CMはあくまでオリジナルアレンジとの注意書きがあるから、まぁそのうちキリンがオムニバス盤でも発売してくれるのを待つしかない。

 オリジナルを試聴するだけなら、以下の輸入盤タイトルで。

CD「16 Most Requested Songs」
[BEST OF] [FROM US] [IMPORT] by Doris DayCD「16 Most Requested Songs」
by Doris Day

 とはいえこの歌、実は誰かが企画会議の席で不意に歌ってしまったのでは…。

 上司「…で、この商品は売れるのかね?」
 部下「え?いや、その〜、・・・・・」
 上司「おい、どうなんだ!?」
 部下「…、」

     ケ〜セラ〜セラ〜♪
       なるように〜なる〜♪

     そんなこと〜♪
       判ら〜ない〜♪
posted at 2005/11/27 18:12 | Comment(6) | TrackBack(0) | 広告批評
この記事へのコメント
この宣伝短いなかに人生濃縮されてますよね。
歌もピッタリ。なるようになるって部分だけは知っていましたが、こういう内容の歌だったんですね。

いろいろ考えたところでなるようにしかならないものって人生にはたくさんありますもの。


Posted by bike at 2005年11月28日 09:16
>bikeさん
振り返るとバスが出てるってのも、厳密に考えればタイミングとしてあり得ないんですが、あんな風にさらりと描かれると不思議と気にならないもんですね。あの間がなんとも言えず、とても好きです。

あの歌詞、どこか優しく励まされるようでもあり、でも人によっては厳しく突き放されるようでもあり。まったく不思議な歌ですね。
Posted by 映太郎 at 2005年11月28日 11:36
筒井さんの端麗グリーンラベルのCMは私も大好きです。4月に始まってから今の「バス停編」は第3弾になりますが、ケセラ・セラの歌が始まると必ずテレビに見入ってしまいます。グリーンの景色とともに筒井さんの爽やかさとほのぼのさが印象的です。
あまりにもうまさそうに飲んでるオーバーな演技とも思えるビールのCMもありますが、なんだか押しつけがましく思えてきます。それに比べると筒井さんは最期にごく自然な表情でグリーンラベルを飲んでいるので、まさに端麗という言葉にふさわしいCMだと思います。
Posted by おと姫 at 2005年11月30日 07:18
>おと姫さん

ほのぼの感いいですよねぇ。私も、あの曲に反応して必ず見てしまいます。

ところで、以前野っ原をテーブル運ぶCMありましたよね。あれも同様にほのぼの系だったとは思うんですが、あれって何ビールでしたっけ…。
Posted by 映太郎 at 2005年11月30日 07:37
映太郎様、早速の返信ありがとうございます。
「野っ原をテーブルを運ぶCM」?見たことあるようなないような。私は昔からウイスキー党でビールや発泡酒はほとんど飲まなかったのでCMもあまり見ていなかったんです。グリーンラベルのCMが大好きというのは、筒井道隆さんのファンであるということも大きい理由の一つです。(すみません)
昔大好きだったCMにサントリーウイスキーのCMがあります。(たぶんオールドだと思うんですが外人さんのCMです)あの音楽もよかったし、全体に格調高いCMだったなあと懐かしく思い出します。
Posted by おと姫 at 2005年11月30日 13:42
>おと姫さん
サントリーのCMは昔から質が高く、名作CMが多いように思います。

でも最近、映画「ロスト・イン・トランスレーション」を見てしまいました。あの映画って、日本のCM製作現場をチクりと皮肉ってますね。

抽象的なイメージをやたらと求めアバウトな演技指導をする日本の大手ウィスキーメーカー。日本のCM製作ってあんな風に見えてたのかぁ…と思え、ちょっと笑え、ちょっと悲しくなります。
Posted by 映太郎 at 2005年11月30日 15:57
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