甘い蜜に浮かんだ悲しい二人

2005年11月15日
 こんな注釈を添えるのは始めてなのだが、虫の苦手な方は読まない方がいいかも知れない。だが本当は虫についての話というより、悲しい物語とでもいうべきか、とても不思議な光景のお話である。

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甘い蜜の中に
 小さな命が息絶えている

だが…、
 それは驚きの光景だった

 あぁ…。なんか無駄な殺生を思いっきり後悔させられてしまった。
 


 ある日のこと。テーブルに置いた飲みかけのグラスに小さな小バエがたかった。殺虫剤を使うのは嫌なので、たまたま台所にあった直径5センチほどの小さなポットに、冷蔵庫のメープルシロップを少量垂らし置いてみた。

 ふむ、ヤツは虫なんだから、甘い匂いに寄ってくるはず。

 だがそんな私の期待に反し、ヤツはまったく寄って来ない。結局一日ほど置いても寄ってこないので、そのまま置きっ放しにしておいた。



 次の日のこと。ふとポットを覗いてみると、一匹の小バエが入っている。

 しめしめ、そのうち罠に掛かり蜜に浸かって出られなくなるはず。

 だがそんな私の期待に反し、彼は数ミリの深さの蜜にはハマらず、ガラスの面を歩き回っている。結局ずっと眺めていても罠に掛かってくれないのでそのまま置きっ放しにしておいた。



 次の日のこと。ふとポットを覗いてみると、彼は蜜の面に落ちていた。メープルシロップの真ん中にぽつんと浮かんで死んでいた。

 …。なんだかなぁ…。いっそパシッと潰した方がよかったな。

 私は思いっきり自己嫌悪に陥った。小さな虫と言えども殺生は殺生。ぽつんと浮かぶその小さな亡骸を見ていると、彼の失った命が飛んでいる時よりもずっと重たく思えてきた。私は気が滅入った。そしてそのまま置きっ放しにしてしまった。



 次の日のこと。ふとポットをちらりと確かめて見る。

 ん?…え…えええぇぇっ…嘘だろ〜!

 私は目を疑った。蜜の真ん中に浮かんでいたヤツの傍らに、もう一匹浮かんでいるではないか。なんということか。おいおい家族がいたのかよ…。

 あ〜ぁ、さらに気が滅入るなぁ。無駄な殺生するんじゃなかった。



 ちなみに、画像でも綺麗に向かい合っているが、私は何も触っていない。気付いた時すでにこのように向かい合って死んでいたのだ。元々虫は大の苦手だし、ブログ記事の為ですら触るのは嫌な人間である。

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 なんだか不思議な光景に、ただでさえ捨てられなくなったその自己嫌悪の満ちたポットが、捨てるに捨てられなくなってしまった。

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 寺にでも持っていって供養して貰おうかな…。



 それにしても本当に不思議な光景である。私は未だに目の前の光景が信じられない。この二人の姿、ちょっと恨めしくも見え、とても神秘的に思え、どこか温かく、そしてそう考えれば考えるほど悲しい光景に見えてくる。

 なんだかなぁ…。やっぱ無駄な殺生するもんじゃない。
posted at 2005/11/15 05:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 死生私観
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