洞窟の中のバッハ

2004年08月20日
サックス奏者清水靖晃が、「洞窟の中のバッハ」を聞かせてくれる。

CELLO SUITES 1.2.3.CELLO SUITES 1.2.3.
YASUAKI SIMIZU TENOR SAXOPHONE
(1996/VICTOR ENTERTAINMENT)

大谷石採石場跡の地下空間や空っぽの巨大倉庫をスタジオとして利用し、その天然エコーをたっぷり効かせたアルバムの題材は、バッハの無伴奏チェロ組曲。

その独特な演奏スタイルは、地下公共駐車場を演奏会場として利用することもあったという。
 
巨大で反響の大きい空間を漂いまわるサックスの音色は、神聖なバッハの響きを全く新鮮なものに変えてしまっている。

バルブの摩擦音や、息つぎのノイズまでもが聞こえてくる。そんな人間臭い楽器と神々しいまでに無機質なメロディーの組み合わせも、実は作曲する時点ですでにバッハが意図していた人間らしさなのではと、以前から感じていた。彼のアルバムの数々は、それを改めて納得させてくれるものである。

フィリップ・グラスが、いかにもシークェンサーを使いたくなるような旋律の繰り返しを、生オケにしつこく演奏させているのも、同じことを意図しているのではと思う。

まだ若く、YMOのシンセにのめり込んでいたころ、生々しさを排除した無機質なものにカッコ良さを感じていた。クラシックギターの弦の摩擦音や、フルートのブレスの吐息が好きではなかった。でもいつの頃からか、あのいかにも人が演奏してるという臨場感を、逆に楽しむようになっていた。

このアルバムは、そのエコーの使い方も独特だが、バッハをあえてサックスで演奏したことに惹かれてしまう。サックスという楽器の持つ人間臭さ故に。

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この記事は、
YahooGeoCities版★映太郎の映像批評★
2004/08/20/Log-no0061より移植
posted at 2004/08/20 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽批評
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