タイタニックの役名無き役

2004年10月03日
プレミアムステージ1周年記念スペシャルで、
「タイタニック」4時間一挙放映を見た。
(フジテレビ2004/10/2/19:03)

◆何度も見た映画だったが、やはりまた見てしまった。
いい映画は何度見ても楽しめる
それも私の映画評価の基準である。

◆ロードショーからどれほど経った頃だったか、タイタニック展を見に行ったことがある。武道館近くの科学技術館会場には、特殊な薬品に浸された様々な装飾品や、乗客の生前を忍ばせる多くの遺品が無言にたたずんでいた

数え切れないエピソードの中に幾つか忘れられないものがある。
--散り散りになって死に別れた家族。まったく別々に埋葬されたはずの彼らの調査が進むと、偶然にもその墓は仲良く並んでいたという。
--引き揚げられた荷物に残っていた手紙。投函されなかったその手紙の差出人は家出したと思われていた父。しかし数十年を経て家族に届けられた手紙の内容は帰郷の知らせだった。家族の誤解は解かれたという。

シンクロニシティーという言葉が何度も頭をよぎった。

◆ところで、観客の映画に対する好き嫌いの基準は、人それぞれだと思う。時にはたった一言の台詞だったり、また本筋とはさほど関係ない短いエピソードだったり。実際、全く無意味なシーンは存在しないはずだが。

監督にもそれぞれ、本筋とは別に観客に是非見せたいシーンがあると思う。ストーリーの大筋からは離れたエピソードの中に、些細な映像や小さな台詞、時には役名も無い登場人物の一言に、監督の思いを想像する。編集作業の淘汰に行き残ったシーンやカットが、小さければ小さいほど、残した理由が気になるものだ。

◆映画「タイタニック」の中で私が最も好きなシーンは、ラストの階段シーンである。
年老いたローズの夢の中なのか、亡くなって魂となった死後の中有なのか、彼女は船に戻り無事ジャックと再会する。祝福する人々はみな幸福な表情をしている。この映画で監督が一番見せたかったものは、特撮でもCGでもなく、ラストで階段を取り囲む人々の、まさしくこの幸福な笑顔ではないかと思う。

彼らを思い出して下さい。
彼らを忘れないで下さい。
そして、
彼らは今きっと、
それはそれは幸福な表情をしてると想いませんか。


あのシーンの登場人物に役名は必要ない。あそこに立っているのは、まさしく犠牲者一人一人なのだ。監督には、階段を取り囲む役者の後で見守る多くの人々が見えているのだと思う。

そんな監督の思いやりを感じるこのシーンが好きだ。私にとって4時間の映画は、このシーンを見るための伏線なのだ
posted at 2004/10/03 01:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映像批評
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