向田邦子「びーる」を嘆く?

2005年08月06日
 ふむ、考えたな。

 そういえばかつて“ルートビア”なるモノを飲んだが、麻布のナショナルマーケット辺りではいまだに売ってるのだろうか。

Riedelのビアグラス-ペア≪ボクたちも乾杯!≫
―人気広がる、こどもびいる―
 茶色の瓶から注がれる黄金色の液体に白い泡。見た目はビールそっくり、でも中身はリンゴ味のようなノンアルコール炭酸飲料の「こどもびいる」がじわじわと人気を広げている。
(ヤフー/共同 05/08/05 11:32)

 画像はもちろんイメージ画像ですから、噂の“びいる”とはまったく関係ございませんってば…。
 
 初経験の“ほろ苦い”味なんてのは、大人の勝手な想像でしかなく、たぶん大人と同じモノを飲んでいる幸福感に満ちた味なんだろう。そう考えると、とても美味しそうに思えてくる。

 中身は結局南米産のガラナだという。大人には少々甘すぎるかも知れないが、子供にはやはり美味しいはずだ。 



 初めてビールを飲んだのは高校二年の夏だった。
 初めての一人旅、初めての北海道を走る初めての夜行列車のちょっと肌寒いデッキで、ご当地のサッポロビールを初めて飲んだ。

 「まずいモンだなぁ…」

 そんな印象を覚えているが、後日飲んだキリンビールに、「ビールって意外とおいしいじゃんか」との印象を持った。初めてのビールには、サッポロは少々クセが強過ぎたのかも知れない。



 それにしてもこの手の子供向けの、“大人気分ちょっとだけ味わってみる”的な商品というものが結構存在する。 

 携帯電話のオモチャが、ファミレスのレジ脇で親に助け舟を申し出ているし、PCをいじられたくないお母さん向けの“子供向けのPCモドキ”や、ハンドルをいじられたくないお父さん向けの“チャイルドシート付き子供向けハンドル”が出回っている。

 そんな自虐的な考察は、どこか親たちの身勝手でその場凌ぎな傾向をふと自覚させ、耳も心も微かに痛い。

 向田邦子氏の父親なら、一喝で済みそうである。



 向田女史が子供の頃は、朝食の食卓ですら、父親の教育に対するポリシーに厳しく縛られていたとエッセーにあった。

 一杯目のご飯のおかず、二杯目のご飯のおかず、さらに三杯目以降のごはんのおかずが、厳しく決められていたという。

 その話は、昨今重要視されている“三角食べ”という食習慣が、平面的ではなく時系列的に重視されていたことを教えてくれた。

 好きなモノどころではなく、食べるべきモノ、食べてはいけないモノが色々あったらしい。お父さんだけ一品多かったなんて話はよく耳にするが、子供の口にするもの、大人の口にするもの、父だけが口にするものという区別が、当然のようにそこにあり、子が例えそれを求めても親はそれを決して許さなかったそうだ。

 その父親のせいから食べ物に対する執着が強くなったのか、向田氏のエッセーには食べ物の話がしつこく出てくる。

 かつての父親は厳しく、かつての母親はそれを黙って見守っていた。そしてそれを彼女は感じながら育ったと、繰り返し繰り返し記述している。




 “こどもびいる”を飲ませてもらったこどもは、早い子で数年後には、その違いに驚くのだろう。その違いをどう感じるのだろうか。

 味覚経験も、その時期や順序次第では好き嫌いも様々だと、私はかねてから思っている。「ビールって甘くて美味しいモノ」という印象を持った子供が、そのうち高校か大学で苦いビールを初めて口にしたら、その苦味は本来の苦味の何倍にも感じられそうな…。

 世の中、缶チューハイがさらに売れる時代になりそうだ。

 ところで、向田氏がこの“びいる”を知ったら、氏はどう思うのだろう。この“びいる”に絡めて、やはり親の姿勢を書くような気がするのだが。



 サイトもあるらしい。

 ≪こどもびいる―下町屋―≫
 買える店リストなど。サイト⇒リンク
 ≪友桝飲料≫
 特徴や誕生秘話。サイト⇒リンク

 だが、噂の“びいる”の人気なのかヤフーのせいなのか、一向に繋がらない。子供にビールをせがまれ困り果てた親たちが、世の中そんなに多いのか。

 結局は大人向けなのかの知れない。子供に厳しく「ダメッ!」と言い切れない大人たちの救いの飲み物“大人向けのびいる”ってことなのだろう。
posted at 2005/08/06 14:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | 味覚批評
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