馬鹿がDVDでやって来る?

2005年07月25日
ふと“馬鹿”という言葉を検索してみると、思わぬ知らせが舞い込んだ。おやおや、こんな名作がDVDになっていなかったとは。

―発売予定日は2005/07/29です!―

馬鹿が戦車でやってくる馬鹿が戦車でやって来る
(1964/松竹)
原作 団伊玖磨
監督 山田洋次
出演 ハナ肇

それにしても、日本映画のDVD化がかなり出遅れている気がしてならない。
 


幼い頃の話である。60年代後半から70年代前半の頃だろうか。この馬鹿な映画はテレビでよく放送されていた。お正月の深夜などには毎年必ずオンエアされていたものである。

放送される度、我が家は毎度毎度なぜか必ず観ていた。家族で大笑いするわけでもなく、涙を流すわけでもなく、だがなぜかうちの家族はこの映画が好きだった。

だが、一頃を境になぜか画面には登場しなくなる。“放送禁止用語”という言葉が、テレビ番組や映画に頻繁に文句をつけ始めた頃なのかも知れない。確かにその映画は、罵る者と罵られる者の構図がベースになっていた。

海は近くとも山の中の、でものんびりとした村のはずれに、ハナ肇扮する元戦車兵が住んでいた。お人好しな母親とオツムの足りない弟と暮らしている。

弟は自分がトンビだと思い込んでいて、いつもぴーひょろろろと鳴いている。村でたった一人彼に優しく接してくれるのは、地主の病弱な娘だけだった。

ある日その娘が、自分の退院祝いの宴席に彼を招待するのだが、結局は村中の者に馬鹿にされとんだ騒ぎとなる。

母親は騙され、弟は火の見矢倉から落ち、彼はついに普段の怒りを爆発させ、小屋に隠していた戦車に乗り込み…。

はるか幼い記憶、ぼんやりとした記憶の中に、この映画の海辺のシーンが焼きついている。

優しさと、プライド。その二つの物がとっても大切な物なんだよと、どこかの知らないお爺さんが語りかけてくれるような、そんな映画だった。原作は団伊玖磨氏とあるから、そのお爺さんは彼だったのかも知れない。



それにしても、この頃の日本映画があまりDVD化されていないのが気に掛かる。

他にも、当時の映画で手元に置きたい作品は色々あるのだが、たまに思い出し検索しても一向に現れない。どうしてなのだろうか。

同時期、同程度の愛着で再々放映を同様に心待ちにしていた作品がもう一本ある。駅前シリーズ、社長シリーズなんてのもそこそこ人気はあったらしいが、私は森繁久彌、三木のり平、森光子の「喜劇各駅停車」が好きだった。

あらためて映画サイトで調べると、清水寥人原作の「機関士ナポレオンの退職」を映画化した作品とあったが、その作品の由緒ある経歴を今回初めて知った。

第50回昭和38年下半期芥川賞候補作
清水寥人「機関士ナポレオンの退職」
 ―『上州文学』5号[昭和38年]―
≪直木賞のすべて≫
 サイト⇒リンク
≪付録芥川龍之介賞受賞作候補作一覧≫
 第50回⇒リンク

ふむ、「喜劇各駅停車」の原作がそれほど由緒ある作品だったとは知らなかったが、この原作、私と同い年だったとは…。さらに親しみが増してきた。とはいえそれほどど偉い作品なのに、DVD化されないと思うと余計に不思議でならない。

どうか、日本映画ももう少し積極的にDVD化して欲しい。できれば、「喜劇各駅停車」と、「太平洋ひとりぼっち」と、「黒部の太陽」と、それから「超高層ビルのあけぼの」なんてラインナップでお願いしたいものである。

そういえば、「とうちゃんのポーが聞こえる」なんて忘れられない作品もあったが、あれはちょっと悩む。手元に置きたい気もするが、さて観る気が起きるかどうかはわからない。よほど泣きたい時がくればの話ではあるが…。思いっきり泣きたくなった時、でも「火垂の墓」には飽きた頃にはいいかも知れないか。

で、何でまた“馬鹿”を検索したんだっけか。限りなくADDに近い多動人は、そんなことはとうの昔に忘れてしまったとさ。
posted at 2005/07/25 03:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映像批評
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