崖に立つリボウスキの顔の色

2005年07月15日
最近のBS各局、なにやら“BS映画祭”と称し、人気作品をしつこく放映してくれる。元々再放送頻度率の高いBSのくどさがさらに増し、何度も観たいしつこい性格の者にはありがたい。

お陰様でか、とある映画がねばっこく脳裏に貼り付き海苔のように剥がれない。

ビッグ・リボウスキビッグ・リボウスキ

監督 ジョエル・コーエン
出演 ジェフ・ブリッジズ

目に浮かぶのはあのシーン。広い海が目の前に拡がる崖に立った二人が、“アレ”を開くシーンである。あの場面、どこか可笑しくて、ちょっと物悲しくて、それでいて優しくて…。何度でも観たいシーンである。
 


映画の中ほど、三人のボーリング仲間はふとしたことで試合の帰りに襲われる。

ことを荒立てたくなくてさっさと財布を開く者。武器もないのに相手以上に凄む者。ただただ怯えて見守る者。三人の反応はそれぞれ。

結局凄んだ男が素手で相手をねじ伏せ、耳まで食いちぎった末に相手を退散させるのだが、ふと気が付くと…。

場面が変わるとある容器の値段に愕然とする二人。平然とあしらう業者に、例の場面で凄んでいた友人がぶちキレ、そして再び冷静になり、ふと質問する。

「近くに***はあるか?」

ん?、もしやアレを手にいれるのか…。観る者が想像する間もなく場面は変わる。

そしてあのシーン。真っ青な空の下、真っ青な海を見下ろす崖の上に二人は立っている。親友の思い出を海に語る凄んだ男。彼はおもむろに“アレ”を開くのだが…。

ジェフ・ブリッジス演じる主人公デュードことリボウスキは、やりきれなさに男にあたる。



私は基本的に、ネタばれなどまったくお構いナシな人間である。ネタがばれて観る気が失せたり、観たとしてもつまらないなんて映画などはその程度のモノ…といった考え方である。あのネタばれ厳禁だった映画「シンクス・センス」だって、ネタが判っていたっていい味が消えるわけでない。

とはいえ、まったく知らない人の為に今回は一応少しだけ伏せておくことにした。まぁ缶のよい方には関係なさそうだが…。

それはともかく、あの崖のシーンでのジェフ・ブリッジスの顔があまりに馬鹿馬鹿しくて堪らない。そしてあの情景があまりに物悲しくて堪らないのだ。

ふざけた映画の中で、その場面は最も真面目なシーンなのにふざけたモノで、その馬鹿馬鹿しさゆえに物悲しさが増す。

真面目なことを言いたいくせに、作り手が照れ屋なのか真っ直ぐ言わずちょっとおどけ、何気なく誤魔化す態度。作り手の態度とあの二人の態度が微妙に重なる。

デュードがはおっていたルーズなニットのガウンのように、懐が深くいい映画である。

すっかり印象が残ったせいで、私はやっと別の映画と区別がつくようになった。一時期あの話題になった映画「ボーリング・フォー・コロンバイン」とこの映画「ビッグ・リボイウスキ」のイメージが重なりゴチャマゼになっていたのだ。そういえばあの映画も、ふざけた態度と真剣なメッセージのギャップが可笑しな雰囲気を匂わせていた。

区別がつくようになったものの、そうして考えると再びイメージは混ざり合い始めた。まったく困ったものである。
posted at 2005/07/15 18:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映像批評
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