片付かぬ部屋「ターミナル」

2005年07月08日
近所のレンタル店は中途半端で困っている。並んでいるのは空箱ばかりで、一体貸す気があるのか何なのか。映画を観せると言うからそこへ行くのに、空箱をたっぷりと陳列するだけで、当然ながらお代は取らない。まったく親切な店である。失望感がつのるだけならまだしも、時には観る気も失せていく。

だがこの映画はどうしても観たかったので、意欲が失せないうちにと二子玉の大型店で買ってきた。

ターミナルターミナル

監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 トム・ハンクス
   キャサリン・ゼタ=ジョーンズ

で、この監督、テレビ映画「激突!」以来のファンを自負してきたが、もしやこのお方もあの症候群なのだろうか。少々疑わしくなり同時に親しみが湧いてきた。
 


あの症候群とは世間に蔓延る“ADHD”である。世に言われる“片付けられない人々”症候群。元は落ち着きのない子供に授けられる症例だったらしい。

ADHD―「注意欠陥多動性障害」
(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)

久しぶりに検索してみつかったサイトはその人々に対する偏見が生じはじめていることに懸念を示していた。

ADHD/ADDネットワーク―≪夜明け≫
「夜明け」は、ADHD(注意欠陥多動性障害)を持つ当事者による当事者のためのサイトです。
サイト⇒リンク

同サイト内「成人ADHD/ADDとは?」
“ADHD/ADDの人”=“部屋を片付けられない人”=“ゴミ屋敷の住人”なという誤解広まっています。
サイト⇒リンク

サイトでは“ADHD/ADDの人”イコール“ゴミ屋敷の住人”なんだという誤解はあきらかな誤りであると言っている。だがもう一つの等式、“ADHD/ADDの人”と“部屋を片付けられない人”がしばしば一致することは否定していない。“ゴミ屋敷”は片付けられないことの単なる一つの結果であり、症状の結果としては在り得るが必ずしも一致はしない、と言っている。だが、“片付けられないこと”自体ははっきりと症状として記している。



だがどうして映画「ターミナル」の監督がADHD/ADDなのか。

この映画、私は一応かなり気にいった。ヤギに泣かされ、コピー用紙に泣かされ、モップのじいさんに泣かされ、あんまり何度も泣かされてエンディングは静かに観終えることができた。

まぁわざとらしさが目についてイマイチだったと評する人も多いのだろう。私も正直若干思っている。だが裏返せば、わざとらしいほどのスピルバーグの作り方は、大衆受けする判りやすさでもあり親しみやすさでもある。

だが、それにしても正直かなりのくどさを感じた。あれもこれもと盛り込み過ぎではなかろうか。紛争を初めて知るシーンもモニター一つで十分な気もするし、トレッキーと髭の青年との話も無ければ無いで済みそうである。そもそもキャサリン・ゼタ・ジョーンズ演ずる女性の役どころさえ必要あったのだろうかと思えてくる。

無くてもいいのではと思えるものが多すぎる。小説や物語は、そこそこの長さを境に、そぎ落とすのも難しいと聞いている。日本の映画界などでは逆に、制作費に苦労する監督は撮影前に泣く泣く諦めることもありそうだが、やはり資金に苦労しないスピルバーグ監督だからか、とにかく撮っちゃえと言わんばかりで撮影し、結局すべて入れてしまったようである。何でも缶でも入れりゃいいってもんでもないだろう。

DVDに添えられたメイキング映像の中のインタビューでは、その理由らしきことを監督自ら述べていたのが面白い。

せっかく作った巨大な特別セットの背景。あらゆる部分を撮影し、撮り残しはどこにも無いかを念入りに確かめたという。

作ったセットがもったいなかったんだね。紛争を知った主人公がエスカレーターに乗り二階にあがるシーン。そしてエスカレーターで孤独に揺れるバゲージのシーン。セットとしては画期的だというエスカレーターを撮りたくて撮っているのが見え見えだった気がする。

この監督、撮ったシーンがもったいなくて削り切れていない。どこか捨てられずにモノが溢れるADDな人に通じている。考えてみれば長い映画、くどい作風、しつこい作りを好む映画監督はみなADDかも知れない。あの指輪一個で長編三作作ったあの人も、旧1が新では4だとかと順序むちゃくちゃに六作も作ったあの人も、ある意味みんな疑わしい。

レオナルド・ダ・ヴィンチはADDであったのではと言われている。好奇心が強く、好きな物にだけは途轍もない集中力を発揮し、しかし飽きると見向きもせず、やり遂げずに放り出した作品も多いという彼の性格がピッタリ一致するのだという。

新しモノ好きな人、好奇心の固まりのような人、子供のような好奇心に満ちている人とも評されるスピルバーグも、まったくもって怪しいものである。



ところで、先のサイトに紹介されていた症状の一つが皮肉にも映画と矛盾していて面白い。

ADDの症状
■しばしば、順番を待つことが困難である。

いつ回ってくるか判らぬレンタルDVD店の順番待ちが耐えられず、結局DVDを買ってしまった私自身、この症候群に100パーセント一致している。自己診断は間違いなさそうだ。
posted at 2005/07/08 08:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映像批評
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