恥ずかしきBCRメモリアル

2005年07月05日
懐かしきはこのアルバムではない。

ベイ・シティ・ローラーズメモリアル

by ベイ・シティ・ローラーズ

肝心なアルバムはレコード棚の奥底に沈みアルバム名も忘れてしまった。

実際に懐かしいその時代をふと思い出したくて、この復刻アルバムのCDを買ってしまった。この年でこんなアルバムを買っていることすら恥ずかしいことだが、その懐かしき時代は思い返すだけでももっと恥ずかしく、真っ赤な耳を覆いたくなる。その手の隙間から耳に忍び込む時代はすでに三十年も昔のことだった。
 
恥ずかしい時代というもの、みなそれぞれ初恋の時期であろう。



可愛くて可愛くて堪らなくその同級生の女の子に一目惚れした。陸上部のその娘はベイ・シティ・ローラーズを聴いていた。その娘が聴いていたわけでもなく、私は運良くBCRが好きでレコードを持っていた。キッカケなど他には何もない。だからいつもBCRに頼りっ切りだった。

女の子たちがメンバーの中で「誰がいい?」とか「彼がいい!」とキャッキャと騒ぐ黄色い輪に必死に入り込んでは、男のクセになぜか「僕は…がいい」などと場違いな会話をしていた。今にして考えれば「君が一番いい…」ってとこなのだが、そんなことを言えるほどなら苦労はしなかった。

当時父親はレコード関連の仕事をしていたので、お陰で販促商品をよく持って帰ってきた。クラシックレコードのこともあればビートルズのポスターだったりと、言うことは聞かないくせそんな土産だけは結構当てにしていたものだ。BCRが日本で一斉を風靡しテレビ東京を席巻していた頃である。よく彼らの下敷きやポスターを貰ってきてくれた。

私はそれらをよく中学に持って行き友人に自慢した。だがその娘がBCRファンと知ってからは人には見せず、こっそりとその娘にプレゼントばかりしていた。学校で渡す機会を逃し、帰り道延々と機会を窺い、渡す機会を求めずっと後を歩き、自分の家とは全然違う方向まで追い続けたあげく渡せずに帰ることもよくあった。そんなことに命を掛けていた時代である。若さとは恐ろしいものだ。



アルバムの音色はとにかく甘い。同時代流行っていたどのバンドよりもやたらと明るく我にかえるとやけに甘ったるいものだった。その二年後くらいだったか、そんな甘ったるさを打ち消すようにテクノやハードロックにのめり込んだ。

だが懐かしさというもの、何か情に触れ何かに想いを馳せた時に触れた音楽や映画ほど強いものである。今振り返れば、あの頃のBCRがとても懐かしい。

あの娘は今頃どうしているのだろうか。袖に赤い二本の線がデザインされた濃いグレーのVネックセーターに身を包み、少しクセのある歩き方で廊下を遠ざかる彼女の姿が目に浮かぶ。三十年後の今、音沙汰も同窓会の誘いもない。

同窓会検索サイト「ゆびとま」でもと思うが、そんな勇気があったら苦労はしない。
posted at 2005/07/05 06:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽批評
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