百頭目の風太が見つめるモノ

2005年05月27日
テレビで散々見せられた彼の凛々しい立ち姿も、PCに保存してじっと眺めていると、ふと何かを持たせたくなった。何が似合うだろう。

私はこんなモノを一本だけ持たせてみた。

WILL YOU MARRY ME ?WILL YOU MARRY ME ?

 それにしても
  一体君は何を見つめてるんだい?
 
“百匹目の猿”という話があるけれど、彼は一体何頭目のレッサーパンダなのだろう。過熱報道の数日後には「立って当然でしょう」なんて専門家の意見が世間の熱を冷ましに掛かったが、その翌日には「今度は歩くレッサーパンダが出現しました!」なんて話題に変わり、まるで進化のプロセスでも実況中継しているかのように興奮するレポーターが一向に後を絶たない。風太人気は当分続きそうである。



ところで、すっかりメディアの人気者として扱われているこの風太君も、最初に人々の目に留まったのが個人的なブログというのはやはり興味深い。

話題性を期待しモノ珍しさばかりを際立たせたCMなどが、オンエア後も余韻のようにブログ間を彷徨い続けクチコミ的広告効果を撒き散らす手法は、今ではすっかりありふれたモノになりつつある。スーパーボールの一発勝負的なハーフタイム用広告も、ブロガーたちをかなり意識しているという。ブロガーがメディアの後を追うどころか、ブロガーが食いつくような餌をあえて蒔いていると言えよう。

それに比べて今回の風太の話題、先行するはずのメディアがブロガーの食べかけの話題を横取りしている。マスなメディアにしてはちょっと情けないが、今後もこんな追いかけっこがあちこちで巻き起こる可能性を暗示しているのだろう。



可能性は別の可能性も秘めているのだ。自分のブログがいつ何の話題になり、どういった取り上げられ方をされるか、まったく予想がつかないということである。

例えばどこかの芸能人が「笑っていいとも!」かなんかで、「いや最近気に入ってるブログがありましてね…」なんて口を滑らすかも知れないし、タレントの公式サイトのプロフィールでは“お気にブログ”なんて項目が必須項目にもなるかも知れない。

そんな取り上げられ方ならまだマシだが、何気なくともちょっとした過激発言を何かの団体が取り上げ、いつ吊るし上げられるかも判らない。私の場合はそんな可能性の方がよほどありえて不安である。まぁ実際取り越し苦労に他ならないのだが、ミニでありマスでありえないはずのブログも、状況次第ではいくらでもマスになり得るということだろう。



ミニだろうとマスだろうと構わないが、ブロガーも日々その数は増え続けている。ブロガーを猿に例えるのはヒンシュクを買いそうだが、数の増加と行動の伝播においての構図は変わらない。

誰かが始めたある行動が仲間に広まる時、その数がある場所で一定の数を越えると、接触の無い遠隔地でもほぼ同時期に同じ行動が始まり広まるという、いわゆる百匹目の猿のお話。賛否は様々だが、私は人の意識が集合無意識で繋がっている証拠と信じている。

実際ブロガーに例えると構図はずっと判りやすい。絡み合い核心のまったく見えなくなったウェブの毛糸玉は、ブロガー同士の集合無意識として考えられる。以前のHTMLサイトでも言えることだが、以前よりも何百倍の速度でトラックバックが互いを結びつけ、それぞれの表層意識に影響を及ぼし、見えない力で惹きつけている。

画一的なモノは疎まれ、それぞれが“個性的な…”だの、“私だけの…”だの、“マイブーム”だのと言っている割りには、あれこれ様々なムーブメントの波は絶えず、みなあちこちで仲良く同じことをしている。

“日本中の若者がダッコちゃんを腕に巻き街を歩く…”なんて巨大なブームはもう二度と舞い降りそうにないが、ネットを介した同好会的サイトなどの密度の濃さと奥の深さは、ブームを計るモノサシがかつてのモノでは役に立たないことを物語っているだろう。その道の同行者の人数が少なくとも、その者たちがこぞって入る穴は深いのだ。ブームの形態自体が進化している。



さて、そんな理屈っぽいお話は、風太にとってはお構いなしだろう。彼はいつまで立っているだろうか。いや、彼の話題は一体いつまでテレビで取り上げられるのだろうか。

 風太は立っているか?
  風太は… 立っているのか?

テレビ局の番組担当者が動物園に掛ける電話が聞こえてくる。その台詞は、加古隆氏のあの名曲のタイトルのようだ。
posted at 2005/05/27 04:57 | Comment(0) | TrackBack(1) | 報道批評
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