大日本除虫菊広告の痛い指摘

2005年05月25日
キンチョーのCMはやはり別格として扱いたい。そのCMを記事のネタにする際の社名にしても、「キンチョー」でもなければ、「KINCHO」でもなく、「大日本除虫菊株式会社」という会社名を使いたくなる。

ではあらためて…
「大日本除虫菊株式会社」のCMは、私にとってやはり別格である。ではどうしてなのだろうか?

その、まさしく菊の葉のような粉っぽささえ感じられるほど古臭い社名を、いい加減“CI”しても良さそうなものなのに、一向に変えようとしないその頑固さと、その頑固さとあまりに裏腹な広告スタイルのギャップが魅力なのかも知れない。

 愚かな一徹さは狭量の証

そんな言葉も浮かんでくるが、狭量と蔑む者知り得ぬ一徹さの証とも言い代えることが出来るだろう。
 


なーんて風に無意味に理屈っぽく批評しようモノなら、その「大日本除虫菊株式会社」のテレビCMはすぱっと一言で切り返す。

 つまらん…、
  お前の話はつまらん!

ぅぅううう…、痛い。
まったく痛いお言葉である。

KINCHO CM
水性キンチョール「つまらん篇」
墓参りの帰りなのか、父親と中年の息子が寺の片隅で会話にならぬ会話をしている

父親「キンチョールはどうして水性にしたんだ」
息子「それは地球のことを考えて、空気を汚さないように・・」
父親「つまらん。お前の話はつまらん」
Na「あたらしくなった水性キンチョール(大滝)」
父親「つまらん」

出演
老いた父親…大滝秀治 
中年の息子…岸部一徳

やはり一味違う。トイレ用の安っぽい芳香剤のような匂いを発するエステー化学のCMの臭さとは比べ物にならない。黒い体操選手の黒いCMを見て以来、どうしてもエステー化学には厳しくなってしまう。

それにしても、大滝秀治の重厚さが重石になっているのか、それとも岸部一徳の軽妙さが心地よいのか、いやそんな二人のアンバランスさが絶妙に功を奏しているのか…。一連のシリーズが何度見ても堪らない。

ところで、CMの評価の多くはそのCMを企画し制作した広告代理店に向けられるが、私は評価の半分はそのスポンサーに向けられるべきであると考えている。

実際のシステムを知らずにこんなことを述べるのも無謀とは承知しているが、ある程度想像するにその資金を提供しているのは他でもないクライアント企業であり、CM放映を最終決断するのもクライアントであると思っている。だとすれば、その立案、企画、構成の段階で広告代理店がいくら名作傑作珍作を搾り出したとしても、いざその案にゴーサインを出すのはクライアントなのだから、結局はクライアントの判断によるものが大きいはずである。

まぁ押しの強い代理店担当者と気の弱いクライアントの担当者の組み合わせなら別だが…。



なーんて風にさらに無意味に理屈っぽく批評しようモノなら、その「大日本除虫菊株式会社」のテレビCMは、再びすぱっと一言で切り返す。

ただし今回は艶かしい女性の声で優しく、だがきっぱりと痛い台詞を投げかける。

 そんなつまらないこと言うために、
  ブログで記事書いてるんですか?

えっ?
まさかそんなことは言ってはいない。

KINCHO CM
水性キンチョール「片隅篇」 
寺の片隅の木陰で人目を忍び佇むあの父親と和服の女性が会話にならぬ会話をしている

父親「水性キンチョールは空気を汚さない努力を…」
女性「そんなつまらないこと言うために、こんな所に呼び出したんですか?」
 寺の鐘…ゴーン
父親「ふふふふふふ」(いやらしい笑い)
Na「水性キンチョール(大滝)」

出演
無邪気な父親…大滝秀治
和服姿の女性…元井須美子

まったく…、
堪らん。なんとも堪らんCMである。可笑しくて、馬鹿馬鹿しくて、それでいて必要最低限のことはしっかり見るものに刷り込んでいる。まぁ刷り込まれたモノが、人それぞれかなり異なるのはどうかとも思うが、大日本除虫菊株式会社たる傑作CMの老舗は、そんなことはまったくお構いなしである。そのスタイルは…、

 愚かさと見紛うほどの一徹さは度量の証

そんな言葉が浮かんでくる。



ちなみみ、以上の作品はサイトで視聴することができる。

大日本除虫菊株式会社
サイトトップ⇒リンク
  CM情報⇒リンク
HTML版!CM集⇒リンク…一覧から選択し視聴できる
FLASH版!金鳥CM劇場⇒リンク…ラジオCMの受賞作もあり

金鳥CM劇場のFLASHに登場する劇場チケット売り場にはラジオが置いてあり、キンチョー自慢の受賞作品を聞くことができる。受賞タイトルが添えられていない作品も並んでいるのだが、たぶん受賞作同様に自信満々の作品なのだろう。

特にサンポールラジオCM「ニュース篇」は、ナンセンスショートとして興味深い。その心地良い無意味さは、別役実の「虫づくし」(アマゾン⇒リンク)の73頁第11話「ナンキン虫」を彷彿とさせる。馬鹿馬鹿しく無駄な理屈っぽさが堪らない逸品である。かつてNHK−FMで流れた、常田富士男氏朗読の放送が懐かしい。あらためて中学時代に購入した「虫づくし」を確かめると、今は絶版となった烏書房と記されていた。

ふむ、大日本除虫菊株式会社のCMのルーツはもしや、別役実氏が発するナンセンスで独特なエッセンスあたりを使用しているのかも知れない。ある意味独特な香りを120年も売ってきた老舗である。エッセンスに一際拘るのも至極当然であろう。
posted at 2005/05/25 03:15 | Comment(2) | TrackBack(0) | 広告批評
この記事へのコメント
なんでもよいけど、
無知すぎるなあ。このコメント
Posted by at 2006年03月05日 22:11
ぅぅううう…、痛い。
まったく痛いお言葉である。

とはいえ、名も無きコメントにそこまでキツく、でもそこまで漠然と言われてもなぁ。

まぁせっかく異議を唱えてくれるならさぁ、私のコメントのどこが勘違いなコメントなのかも教えてくれてもいいのに。
Posted by 映太郎 at 2006年03月06日 00:03
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