ハインリッヒの勝手な考察?

2005年04月29日
私がこの不思議な三つの数字を知ったのは、確か羽田空港で働いていた頃だった。

 ≪ハインリッヒの法則
  件の大規模災害には、その背後に
 29件の中小規模災害があり、さらにその影には
300件の表面化しないエラーやニアミスが存在する。

ハインリッヒの法則 [1:29:300]場所が場所だけに安全管理にはかなり厳しく、安全研修が勤務初日から何日も続いた記憶がある。中でもこの数字と三色の三角形とその意味は分厚い研修資料の冒頭部分で説明されていた。

羽田近辺ではもっぱら『ヒヤリハット』という名で通っていた。『ハインリッヒの法則』などと言ったかしこまった名前を知ったのはかなり後だったが、ネット上でも頻繁に見られるようになった最近のその数字は、何故だか笑いのネタと共に登場している。犯人は爆笑問題らしい。

それはさておきこの数字、至ってシンプル簡潔なようでいまいち微妙なズレが気にかかる。
 


数学の公式や物理の法則というもの、何かの真理をたった一行の式で表すその究極の表現には結構美しいものが多い。
E=MC^2
その一行が意味する内容は宇宙の果てほど深そうで、等式の意味するものはさっぱりわからない。しかし、そのシンプルさゆえか理解できぬ者の頭にもなんとなく染み付いていたりするものだ。

だが、最近ネットやブログでよく見かけるこの法則の三つの数字、私にはどうもそれほど美しく見えない。どこか中途半端なシンプルさがどうしても気になるのである。
[1:29:300]
どうして29300なのだろうか。例えばこれが、29299とか、30300だったらまだずっとシンプルで判りやすいのに…。

自分にはいまいち不完全に見え、シンプルなようでどこかシンプルさに欠けるその数字と比率も、結局はそんな疑問のせいか頭の隅っこにしっかりと染み付いてしまった。

この数字の由来やもっと深い意味を知りたくなった私は、ネットで色々検索してみたのだが、どうも納得いく説明をしてくれるサイトが見当たらない。不完全だと思えたのは実は私が利用している検索エンジンか、それ以前に自分のキーワードの選び方ではとも思えたが、だとしても満足できないことには変わりない。私は少ない手掛かりから、自分で紐解いてみることにした。



この三つの数字はアメリカのハインリッヒ(H.W.Heinrich)氏が、半世紀に渡る研究の末にその比率を見出し、1931年に発表したとされている。

様々な事例や現場のアンケートを、たぶんトリビアでしょっちゅう語られる統計学上必要数を遥かに上回るほどは収集し、(実際とあるサイトには55万件ものデータと記されていたが、)長い時間を掛けそれらを集計、分類分析した結果だと理解している。だとすればこれらの数字は、現実実際のデータのうちの三つの区分に該当するデータをまとめ要約した数字といえる。
私が見た範囲で最も詳しかった参考サイト⇒リンク

あらためて数字を図式化してみた。
直線比較1
MSペイントで長さピクセルの赤い線と、長さ29ピクセルの黄色い線と長さ300ピクセルの緑色の線を描いてみた。見やすくするため線を太く誇張しているせいか、長さ1で太さ20なんて線も可笑しな図ではあるが、横の長さは一応29300となっている。
直線比較2
参考になった別のサイトに敬意を表し同様の横線で描いてみた。少しだけ詳しくでも意外な解説をしてくれた参考サイト⇒リンク

ふむ、どちらにしろ実感が湧くような、でもいまいち中途半端な図式である。おおよその比率はイメージしやすく、時に『ヒヤリ』とし時に『ハット』するなどの幾つもの300のミス(緑)と、たまに発生する29件の軽症事故(黄)と、ごく稀に発生する件の重大事故(赤)。件数比率は理解しやすいが、三つの数字の隙間を埋めてくれるものでもないしどこか物足りない。



さてこのハインリッヒの法則、あちこちのサイトでは必ず三角形の図式が添えられているが、面積比[29300]の三角形とはどんなものなのか。例に従い私も三角形の面積比で正確に図式化してみる。正確さはたかが知れているが…。

三角形の面積比を[29300]にするには、高さはそれぞれ何対何対何にすればよいのか。正確には面積の三角形一つと面積29面積300の二つの台形となるのだろうが、ややこしい。

数字の説明には件の背後には29件、29件の背後には300件とあるが、大規模災害の件とは29件の中小規模災害の内のたまたまだ大規模だった件でもあり、また中小規模災害の29件も、表面化しにくいエラーやニアミスの内のたまたま表面化もしくは問題化した300件の内の29件と考えれば、それぞれが背後の数字に含まれ重なっているものと考えられ、それぞれが別の数字に置き換えられる。
[1:1+29:1+29+300]
となり、つまりは、
[1:30:330]
となる。

面積比を[30330]とし三つの頂点を共有する三角形として考えればよいわけだ。大して変わらんのだが数学の苦手な私はなるべく幼稚に考えたい。

a=底辺、h=高さとする三角形の面積Aの求め方は、
三角形の面積
頂点と頂点からの二辺の角度の双方が共通ならば、底辺と高さの比は常に一定。底辺がX倍なら高さもX倍であり、面積はXの二乗倍となる。裏返せば面積がX倍ならそれぞれの辺はルートX倍となる。

面積比が[30330]ならば辺の長さの比がそれぞれ
平方根比
であり、
二乗比
となる。

ちなみに、面積の比が[30330]となればよいだけだから、頂点の角度は鋭角だろうが鈍角だろうが関係ない。形も多数の例に従い、正三角形ぽくしてみた。MSペイントで角度を取るのは面倒なので、あくまでぽくである。

面積比[29300]の三角形
三角形面積比
ふむ、件に対しての29300件の大きさが少しは判りやすい気がする。

ところで、ここであらたに三つの数字が登場した。三角形の高さ5.4818.17である。高さだろうが底辺だろうがどちらでも良いのだが、新たに姿を現したこの三つの数字の比率も、始めの数字以上にあまりシンプルなものではない。

だが、この調子で色々いじくってみるともしや、もっとシンプルな比率が出てくるかも知れない。私は調子に乗り、三角形以外での図式化を試みた。

正方形の面積比[29300]の場合、
正方形面積比正方形の面積
各辺の長さの比率は[5.4818.17
何も変わらん…。

円形の面積比[29300]の場合、
円形面積比円形の面積
半径の比率は[5.4818.17

何も変わらん…。
当然といえば当然。まぁ想像はしていたし、ただ確かめたかっただけだから仕方がないが、私はさらに調子に乗り三次元ではどうなるかを試みた。
posted at 2005/04/29 09:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 備忘雑録
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