アンネ・フランク著『アンネの日記 完全版』

2013年01月17日
 2013年1月17日、こんな本を読んだ。

アンネ・フランク著『アンネの日記 完全版』/文藝春秋社/文春文庫/AMAZON


 
  アンネの日記 完全版

 Anne Frank著
 深町 真理子訳
 文藝春秋社/文春文庫
 
『アンネの日記』が最初に世に出たのは1947年。そして91年に、47年版でカットされていたアンネの人間味あふれる記述(鋭い批判精神や性のめざめ、など)を復活させた「完全版」が出版された。この「増補新訂版」は、98年に新たに発見された5ページ分を加え、翻訳資料をさらに徹底させたもの。まさに「アンネの日記・決定版」といえる。(作品紹介)


残りの厚みを常に確かめつつ徐々にペースを落とし、いつしか日々の日記を自ら綴るかのように読んでいた。

 読み終えてしまうのが、これほど切なく思えたのは初めてである。



 なぜこの本にそれだけの価値があるのか。
 この本に導いてくれた小川洋子氏が執着するのも判る気がした。不在を描く彼女が執着する理由が…。
そこに死だけが描かれていないからであろうと思う。描くモノと、表現するモノが必ずしも一致しない故にこそ。

 無を表現するには、有を描ききれば良いのだ。そこに何かが無い事を伝えるには、その周囲にそれ以外のモノが在る事を徹底して伝えれば、結局はそれだけが不在である事が最後に伝わる。
 収容所での死はそこに描かれていないが、そこに至る過程と、その周囲が徹底して描かれているから、最後に浮かび上がるのは無の輪郭であり、それが即ち死の輪郭である。
 さらにその死の輪郭がまさにあの歴史的な惨禍の死を意味しているからこそ、その輪郭もが歴史的な記録としての価値を持つ。

 書籍の中で、何度も何度もしつこくこの本の存在を紹介してくれた小川洋子氏に感謝しなければならない。彼女の本に出会わなければ、この本にも出会わなかっただろう。

201212011734-201301171502
posted at 2013/01/17 14:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍批評
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