無宗教ではなく無宗教な日本人

2006年12月19日
 自分は長いこと無宗教だと自負してきた。だが最近、ふとその確たる自覚に疑問を抱くようになってきた。そうか…、実は無宗教という言葉、何かが少し違うのかもしれんな。

 宗教を持たないという意味のいわゆる“無宗教”ではなく、
  実は“無”を無心に信じる“無宗教”なのではないだろうか?

 最近の若年層もまた無宗教を掲げる傾向は多々見られる。だがどうみても彼らの拘っているのは、一文字ズレた宗教である。

 彼らが妄信しているのは無宗教ならぬ、“無臭”教だろう。
 
 まぁ“無臭教”という括り方なら私も完全には否定しきれないことは自覚している。年相応に加齢臭は気になるし…。

 とはいえそれはともかく、私が気にしているのは、日本人が自らを評してよく口にする一般的な“無宗教”という括り方である。



 私だって今までずっと、何も疑わずに自らを“無宗教”だと宣言してきた。だがこの処どうも違和感を否めない。

 特定の宗派宗教を信じないという意味での消極的“無宗教”だと考えてきたが、実は“無”を積極的に信じるという意味での“無”宗、“無”教ともいうべき“無”宗教に思えてきたのだ。

 裏返して考えてみれば、そんな宗教としてでも考えなければ日本人の暦は矛盾だらけとなってしまうではないか。

 クリスマスにはキリスト教信者のごとくイブを過ごし、その翌週元日には神道信者のごとく初詣をして年始を迎え、そしてそれより三月もたてば仏教徒として墓参りをする。

 それはなんと矛盾したことか。何の疑いも持たず、それどころか一切の罪の意識も感じず、平然と多々ある宗教を日替わりで信じる。それも信念や義務としてどころか、日替わりランチのごとく取っ替え引っ換えであり、ほとんどの人は半ば楽しみながら様々な宗教を気楽に生活に取り入れている。

 まったく…、日本は本当にパラドキシカルなお国である。



 かねてからキリスト教徒のケツの穴の小ささには声を大にして嘆き続けてきた。

 信じる者は救われるだと? それならば信じない者はどうなると云うのだ? 自らを信じない者は平気で見捨て切り捨てるその偉大なる教えの小ささを、お前らいい加減恥じたらどうだ!

 まったく…、
 一神教を説く者たちのケツの穴の小さいことときたら…。

 自分の言うことを聞こうとしない者を脅して怯えさせるそこらのいじめっこと何も変わらないではないか。

 大罪を犯した者こそ実は誰よりも救われるべきであり、その者が例え何を信じようとも何も信じずとも、他の誰とも変わらずに救われるべきなはずなのに。

 他の存在を認めようとしない人。他の信教を認めようとしない教え。他人の考えを認めず、他人の存在価値すら認めようとしない小っちぇ人々の心の狭さが責められるのならば、他の宗教の存在を認めようとしないような宗教だって、同様に責められてもよいはず。



 宗教なんてさ、根源はたった一つ、まったく変わらない一つの真理を表現している文芸作品のようなものなのに。

 その国その民族その土地に合わせ、それぞれの言葉でそれぞれの表現で描かれているだけなのに。

 教えがそれぞれ異なるなんて問題にしたって、或る意味ロスト・イン・トランスレーションだとすれば、世界中のあらゆる宗教さえ大した違いはないだろう。時により余計なモノが加えられ、また何処かで何かがちょっと欠落してしまっただけのことなのだ。

 人間同士の言葉でさえロスト・イン・トランスレーションにより色々表現が変わってしまうくらいなのだから、神の言葉なら色々大きなことが失われ加えられてもおかしくはないはずである。

 そんな差異には目もくれず、自分達の教えこそが唯一世の中で最も素晴らしい教えなどと、自らの旗を最も高く掲げようとする鼻高々な先導者たちは、他国の民放製作のドラマを、「孫悟空にミニスカートを履かせるとは許せん!」などと、騒ぎ立てるような狭小なる国民のケツの穴の小ささとなんら変わらん。

 まったく、みなどうしてそれほどケツの穴が小さいんかな。



 特定の宗教を信じる者は比較宗教論を論じることは永久に不可能だなんて誰かが言っていたけれど、もしかすると世界中で唯一日本人だけは、その比較論を論じることが可能なのかも知れないのだと思えてくる。

 宗教を客観的に論じることが出来るのは、我々日本人だけであり、そして我々日本人こそなのかも知れないということ。

 世界中で唯一、まったくもって気まぐれでおおらかで悠長でパラドキシカルな国民性故に。
posted at 2006/12/19 00:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 死生私観
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。