メシアを待ちながら〜ロバート・ハインデル展〜

2012年03月31日
 待っておりました。
 この日を永らく待っておりました。

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ロバート・ハインデル展
渋谷Bunkamuraギャラリー

「メシアを待ちながら」という作品をこの目でじかに観れる日を。

 ■ ■ ■ ■ ■ 


 初めてその作品の存在を教えてくれたのは、たしかテレ東「美の巨人」だった。

「メシアを待ちながら」
 by ロバート・ハインデル
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 その作品の製作中、画家の息子は癌により余命も残りわずかだったという。その息子への、父としての複雑な想いが込められていると紹介されていた。

 ■ 


 混沌としたこの地上界の苦しみからいち早く解放し、澄みきった天上界での大いなる救いを与えるべく、息子を自ら手放し送り出さなければならない理の立場と、いつまでもいつまでもその腕の中に抱き締めていたいという父親としての当然の情の立場。そのジレンマ。その不毛の葛藤が、その作品に描かれているのだという。

 作品の下半分には、バレエスタジオなどのフロアに貼られているというリハーサル用のマーキングテープ様の複雑な模様が入り乱れ、どこか地上のカオスを模しているような背景なのに対し、上半分は彼が多用するという澄んだブルーが拡がり、まるで地上と天上のように作品を二分している。
 その中央に二人の人間。天を仰ぎ今にも浮き上がらんとする者と、その者をそっと支えている者の二人なのか。それともその者を離さんと必死に捉えてしがみつき、引きずり下ろそうとすがりている者なのか。

 旅立つ者と、特に残される者の複雑な想いが垣間見られる。

 ちなみにメシアとは救済者のこと。
 息子の傍らで「救済者を待ちながら」、彼はこの「メシアを待ちながら(Waiting for the Messiah)」を描いていたことになる。

 ■ 


 展示会の運営の方の話では、この作品は病にふす息子の傍らで描かれたのだという。
 弱っていく最愛の息子の姿を看ながら描いていたとは…。
 私は思わず涙腺が疼いた。

 ■ ■ ■ ■ ■ 


ロバート・ハインデル展
会場 渋谷 Bunkamura 1F Gallery
会期 2012年3月31日(土)〜4月11日(水)
   入場無料

会場 代官山ヒルサイドフォーラム

会期 2012年4月17日(火)〜4月22日(日)
   入場無料
posted at 2012/03/31 14:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 絵画批評
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