無い処には何も無くある処には…

2006年06月17日
 あまりに皮肉でタイミングの良すぎる記事に、私ゃこの二人の記者にピューリッツァ賞を授けたい。

佐藤賢二郎/東海林智 配信
<リストラ反動>組合に相談増える

 「辞めたいが辞めさせてもらえない」といった従業員からの問い合わせが労働組合などの相談窓口に増えている。会社から「代わりを探してから辞めろ」と言われたり、「辞めたら損害賠償を請求する」などと脅された深刻なケースも多い。景気回復による人手不足やリストラで仕事が特定の人に集中している最近の労働環境が背景にあるようだ。
【佐藤賢二郎、東海林智】
(Yahoo/毎日新聞 2006/06/14 15:21)

 日常的でローカルで、時にちょっと個人的な状況までもをマスなメディアが取り上げて晒していると結構驚く。

「よくご存知ですなぁ…。もしやあなた方記者お二人も、似たような状況?」…なんて言いたくなってしまうで賞。
 
 せっかくなので、あえて記事を全文参考記事として紹介させて頂く。

記事後半
 NPO法人「労働相談センター」(東京都葛飾区)では、「解雇」や「賃金」に関する相談が01年をピークに減少、この数年は「辞められない」など「退職」に絡んだ相談が増えた。同種相談は昨年559件で、98年の5.5倍だ。プログラマーや看護師など専門知識を必要とする20代後半から30代の若者が多い。会社は、中小企業が大部分だという。
 システム開発会社で働く男性(29)は、3月末に退職を申し出たが「開発案件が終わる9月までは認めない。辞めるなら数百万円の損害を払え」と要求された。幹部から怒鳴られ、「転職先に仕事を放り出して辞めたと伝える」と言われ、辞められない状態が続く。
 老人ホームの運営担当だった男性(32)は、待遇への不満から昨年12月、2カ月後の退職を申し出ると「辞めるなら10人入居者を増やせ」と言われた。労働基準監督署に相談して辞めることができたという。
 また、スーパーなど流通系の労組幹部は「スーパーでは人手不足で職場が崩壊寸前の所もある。パートも仕事量が増えても賃金は上がらず、『辞めたい』と言う人が増えている」と話す。
 こうした状況について、「労働組合ネットワークユニオン東京」(同渋谷区)の古山亨書記長は「02年ごろから『働きすぎ』が深刻化し、『このままでは死んでしまう』という相談が増えた。リストラ時代をこうして頑張った人たちが退職や転職を希望しても、会社側が『辞めさせない』という対応に出ている」と話している。
(Yahoo/毎日新聞 2006/06/14 15:21)

 頷き何度も読む人、怒りを覚えてブラウザを閉じる人、「ふーん、それで?」で終わる人。反応は人それぞれなのだろうけれど…。



 今の私は辞めさせてもらえないという立場ではない。もちろんその逆の辞めさせない側でもなく、その狭間にいつのまにか滑り込んだ穴埋め役である。

 辞めさせてもらえない御方が半ば強引に辞めていった後の、強引無謀なフォローを光栄にもさせて頂いている方である。

 前任者を弁護すれば、引継ぎも疎かに辞めていったのは仕方のないことなのだけれど、私はせめてもう少し時間が欲しかった。

 毎日の仕事は、引継ぎ業務も―仕方無く―疎かに辞めていった御方の御陰で、例え些細な日業業務さえどう処理すべきかを一々考えながら処理することになり、些細でなく重要な課題を一体どう処理すべきか…そんなことを考える時間がほとんどない。

 それでも貴重な時間は刻々と過ぎ、大きくて重要な課題の締め切りは迫ってくる。

 客が乗ってから運転方法のマニュアルで調べ始めるタクシードライバーのようでもあり、犯人を追いかけながら拳銃のマニュアルを調べ始める警官のようでもあり、患者の麻酔が効き始めてから手術のマニュアルを読み始めるドクターのようでもあり、裁判が始まってから六法全書の一ページ目を開く弁護士のようでもあり…。

 客も犯人も患者も被告人も、一体どれだけ待ってくれるのだろう。まぁよく考えれば、タクシーの客は飛び降りて別のタクシーを探すだろうし、犯人はさっさと逃げてしまうだろうし、待ってくれるのはスヤスヤと眠る患者と被告人だけかも知れない。ふむ、半日もマニュアルを読んだら患者だって麻酔が切れてしまうだろうな。



 体を痛めたこともあって、私は一年ちょっとの間仕事から離れていた。体を治す為に休職していたわけではないのだけれど、痛んだ体でもできる仕事をと求めた処で、実際仕事はそう簡単に見つからなかったのだ。

 仕事が無いことで一年以上も苦汁をちびちび晩酌してきた人間は今現在、日々仕事に追われる自分と数ヶ月前の仕事の無い自分を時にふと比べ、ふと自分に言い聞かせる。

「あぁ…、仕事があることはなんと幸せなことか…」

 何度も自分にそう言い聞かせてはいるのだけれど、結局はその直後につい溜息ともう一言漏れてしまうのだ。

「あぁ…、それにしてもどうしてこう極端なんだろうか…」

 世の中そう旨くはいかぬもの。そんなことは百も承知なのだけれど、それにしても世間も人生もまぁなんと極端なものか。

 無い時には何も無く、ある時には山のように…。
 無い人には何も無く、ある人には山のように…。

 ふむ、こんな言葉、仕事に限った話ではないしな。



 風の噂では、記事の題材のごとく多忙に多忙を重ね身をすり減らしそのあげくに半ば強引に辞めていった前任者は、日々充実した仕事と余暇を過ごしているらしい。

 程よい仕事と程よい報酬と程よい余暇を得られたのなら、それはさぞかし幸せなことであろう。

 無い時には無かった自分の時間が、やっとその御方の手に届いたのだ。後に残って自分の時間を一瞬にして失った者には今や全く無くとも、そんなことは関係ない。その御方には当然の権利なのだから。まずは目出度しメデタシである。

 だがそれにしても…、である。

 無い処には何も無く、ある処には山のように…。



 一体何ガ幸福ナノデセウネェ。一体何処ガ幸福ノ場所ナノデセウネェ。一体誰ガ、本当ニ幸セナノデセウネェ。

 ソレヲ知ッテイテ不幸セデイルヨリモ、ソレヲ知ラナイデ幸セデイタイ。私ハソレニ気付カズニ幸セデ過ゴセル人ニナリタイ。

 私ハソレヲ考エズニ、幸セデイタカッタ。
posted at 2006/06/17 10:59 | Comment(4) | TrackBack(0) | 雑題雑想
この記事へのコメント
ん〜。なんか、耳が痛いような?心が痛いような?

時間なんて限られているんだから、
使いようによっちゃ、有意義だったり、無駄だったり…。

また、人によってもとらえ方で変わるし…。

何がいいかなんて、一概に言えないもので…。

と、言い訳してみる自分。(笑)

ま〜。なるようにしか、ならんから…それなりにですかね。

も、どうにでもなれ!というココロでございま。
Posted by KaN at 2006年06月17日 16:13
KaNさん、マイドオオキニドットコム!

たった八行のコメントで、なんだか揺れに揺れてません?

まぁ記事の言葉をKaNさん用に付け加えるなら、

“ならない”時にはどうにも“ならない”けれど、
“なる”時には、きっと“なる!”のですよ!

“なるなる”となんだかさっぱり判りにくくなってしまいましたが、“なるなる、きっとなるなる!”なんです。

まぁ、KaNさんにだけ判ればいいや。
Posted by 映太郎 at 2006年06月17日 17:05
揺れる乙女5kgですかね。(違!)

来るべき時はきっと来る。どっと混む!ですね。

な〜んか、もっと意味不明。(苦笑)

書き逃げ〜ε=ε=ε=ε=ε=┏( ・_・)┛ダダダ!!!
Posted by KaN at 2006年06月17日 17:36
コラ待て〜ε=ε=ε=ε=ε=┏( ・_・)┛ダダダ!!!

さては…自分の城にドット逃げコムってか?
Posted by 映太郎 at 2006年06月17日 17:49
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