フォーチュンクッキーを下さい!

2006年06月03日
 フォーチュンクッキーなんて言うからてっきり占いが書かれているのかと思ったら、ラビオリのような形の小さなクッキーに挟まっていた蝋紙に書かれていたのは説教じみた言葉だった。

Stay calm,
 and confidence will lead you on.

in fortune-cookie
 at San Francisco chinese restaurant

自信を持てば、道は自ずと開かれる
映訳

 厳密に中学英語っぽく直訳すれば、「落ち着いて行動すれば、あなたの自信があなた自身を導いてくれることでしょう。」ってとこだろうか。

 留学中の友人を訪れた198X年のサンフランシスコ。彼が連れていってくれたシスコの中華街の小さなレストランで、私はその“お説教クッキー”の紙切れを手に固まってしまった。

 でもなぁ…、なんでまた俺にこれが回ってくるかなぁ…。
 


 ちょっと前に些細なシンクロニシティーを記事ネタにしたけれど、まさしくその中華レストランでのその時のその言葉との出会いも、自分にはとても意味のあるシンクロニシティに感じられた。

 高校を半ば脱出するように卒業し、9割がたエスカレーターで付属大学に進学する中、私は独り実社会に飛び出した。

 自分は何をしたいのかもはっきりと見えず、ならば自分には何ができるのかさえ判らず、それでも日々現実社会の中で自らの小ささを痛いほど思い知らされ、自信なんてモノは粉々に打ち壊されていた時期だった。

 そんな状況の人間がふと開いたフォーチュンクッキーの言葉がアレである。

 誰が私に読ませようと思ったんだろうか。

 或る意味お陰様なのか、約20年後の今にして思えば私はその頃を境に変な部分で自身の自信に過剰な信頼を置くようになっていった。

 自らの判断を絶対と信じ、自らの価値観を最優先し、自らの信条と心情がもっとも正しいと考え、半ば他人にそんな自らの価値観に対する絶対的な価値観さえぶつけるように生きてきた。

 私はそうして生きてきたのだ。そうしなければこんなちっぽけな人間は生き伸びていけないと無意識に思っていたのだ。

 そんなプロセス、誰が知る。そんな逆説的な価値観に対する価値観を、誰が知っているのだ。

 背が低いから背伸びするのだし、体が小さいから肩を怒らせて大きく見せているのだし、心が弱いからこそ強いフリを…。

 なのに人は傍目の姿を鵜呑みにし、私を自信過剰で自意識過剰で身勝手で無粋で正直なと評価を下しているようである。

 真の姿を隠す嘘の声と、嘘を開き直る真の声と、どこか勘違いされ誤解されているらしい。

 あぁぁ、振り返れば私自身がいつのまにか私にすっかり騙されていたようである。

 これ以上振り返り思い返してしまうと、この20年のプロセスは露のように消えて元に戻ってしまいそうではないか。

 元に戻った方がよいのか。それとももう一度自身を騙して偽りの自信を再び携え、これからも生きていくのか。

 “四十にして惑う”ってのは、こんなことだったなのか?



 サンフランシスコにでも行ってみるかな。ふとあの中華レストランで食事がしたくなってきた。

 今、たった今現在、一体私にはどんな言葉が食後に出てくるのだろうか。

Stay gently,
or confidence will give up on you. 

 自信過剰もほどほどに、
 さもなければ身を滅ぼすぞ!

 あのフォーチュンクッキーから20年目。シスコは遠いから横浜辺りで試すかな。
posted at 2006/06/03 11:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑題雑想
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。