特例緊急温情措置時の決断力

2005年02月04日
JRが受験生の為に新幹線を止めたという。
そんな美談が、各局の報道番組で繰り返し報道されている。

実際そのJRの温情的緊急措置にはとても暖かいものを感じてしまう。現場の判断を重視するある意味で粋な計らいが、やっと日本でも受け入れられるようになったのかと感心してしまうものだ。

だが各番組のアンカーマンの反応も様々で、私の“お気に”アンカーマンの小倉氏は少々否定的だった。受験生には可愛そうだが、私も同感である。そんな温情で救われた受験生の影で、誰にも何の救いも求めずに何人の受験生が諦めていたのか知れないではないか。

誰にも言えずひっそりと諦めた受験生たちは、この報道をどう思って見ているのだろう。
 
寝坊してしまいあっさり諦めた受験生もいれば、バスの時間を間違えバス停で諦めていた受験生もいるかも知れぬ。電車の上りと下りを間違えたそそっかしい受験生もいれば、緊張したあげくに駅のトイレで途方に暮れていたお腹の弱い受験生もいたかも知れぬ。翌日になって初めて間違えていたことに気付くようなのんびりした受験生もいたかも知れぬ。

人に無理を頼む前に自分だけで途方に暮れ黙って諦めたような、内気で控えめで寡黙でお人よしで大人しく真面目な受験生が、実はその報道の影に何人もいるはずなのに、どの番組もそんな馬鹿がつくほど真面目な人々に関してあまり触れない。

“利用客に対する平等なサービス”といった言葉で考えれば、難しい先例を作ってしまったともいえるだろう。来年の入試日いや今年であろうと、僕も私もと言い出す同様の被災受験生に対して、今回の“緊急救済措置的温情サービス”を平等に与えられるのかをどう考えているのだろうか。

美談という評価は、そんな不平等さを無視し目をつぶり忘れてしまわないと使用できない言葉とも思えてくる。

それにしても、その例外的措置を実際に現場で決断した車掌も、こんな私のような評価だってある程度は想定しただろう。それでも停車を決断した車掌の決断力が実は一番驚くべきかも知れない。自分の決断が後にどう評価されようが、そこに居た一人の受験生を救えるならばと、判断したのだろうから。

可愛そうだが、その受験生よりもその車掌に私はエールを贈りたい。こんな、車内に社内に社外に社会でまでの批判に立ち向かう決意とともに、その瞬間の判断を信じ決断した彼の決断力に。

「規則なんて破るためにあるんだ!」

よく映画に登場するような“粋な計らいをさりげなくする粋な脇役”達は、大抵そんな事を言うものである。
posted at 2005/02/04 09:50 | Comment(6) | TrackBack(1) | 報道批評
この記事へのコメント
その昔仕事場で、なかなか出張から帰ってこない課長さんがおりました。

こだまに乗るはずが、ひかりに乗ってしまって、静岡どころか…名古屋まで行ってしまったとか…。笑い事じゃないですね〜。

当時は携帯電話なんてないから、どこ行った?と大騒ぎ。本人から電話がないかぎりは連絡つかなったもんです。

そうですね〜それでも仕事は動くけど、受験は一回きりですからね…。知能犯でわざとそうやって遅れるような輩が出ないこと祈ります。

「車掌さんの判断」これが一番すごいことかもしれません。ハイ。
Posted by KAN at 2005年02月04日 11:29
>KANさん、こんにちわ!
知り合いは慣れない中央線の快速で、荻窪辺りの目的駅をすっ飛ばされ、またよりによって戻る時にもすっ飛ばされ、行ったり来たりを繰り返したあげくに30分ほど遅れてやってきました。たしか平日と週末では停車する駅が違うとかで、たまに使う人間には全くわかりにくいシステムです。慣れない路線はホントに恐ろしいです。

心配性の私の場合、初めて行く場所には1時間早めの到着を見越し出発します。そんな余裕に連絡が良すぎたりすると、約束の駅で1時間半ほど時間潰すこともしょっちゅうです。

車掌の決断も驚きですが、新幹線なんてものに目的の駅に停車するかも確認せずに乗るお方々の楽天的な性格が羨ましい限りです。
Posted by 映太郎 at 2005年02月04日 11:40
美談として大々的に報道され、JRのこれからの対応が難しくなるよ。
車掌さんはお芝居を打てなかったのかな。
受験生を急病人にしたてて、停車駅には担架を準備して停車するとか。(猿芝居と言われようが)
上司としては関係者全員から始末書を取ります。
Posted by のびぃ太 at 2005年02月04日 19:47
>のびぃ太さん、こんばんわ!
いいですね、
その担架利用方法、スマートな案だと思います。

さしずめアメリカ映画なら、
車掌が一発軽くぶん殴って倒してから担架にのせ、下ろしてあげるってとこでしょう。

そんな巧い計らいが、
実際行われることはあるんでしょうか。関係者っぽいお言葉なので、お聞きしたいのですが、そんなことを喋った方は始末書かくのかな?
Posted by 映太郎 at 2005年02月04日 21:58
あちらをたてれば、こちらがたたないといったところでしょうか。

自分のエントリをTBしましたが、韓国のようには
いかないですもんね、日本は。
だいたい、親切で「送ったろか?」って言われても
今は”絶対ついて行くな”って指導をいかにして
徹底させるかに躍起にやってますから。
知らない人がみんな敵だなんて、そんなふうに
警戒して生きなきゃなんないのもどうかと。
Posted by Ageha at 2005年02月08日 12:25
>Agehaさん、重ね重ねのオヒサです!
例の新幹線は三分遅れの到着という話でしたっけ…、そのたった三分も許されるべきではないとも言えますし、でも、乗客のたった三分の協力で一つのナニかを救えるとも受け止められるだろうし、そこに正解は存在しないのかも知れません。

その判断を下した瞬間と、以後の判断を比べること自体不可能なのでしょう。そう考えれば余計に、覚悟の決断と言えると思います。
Posted by 映太郎 at 2005年02月16日 02:11
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL
http://blog.seesaa.jp/tb/1823609

少しだけ「ぺ」の話と韓国教育事情?
Excerpt: 何日か前。 ぺ・ヨンジュン破局の話と 写真集発売(予約だったか?)にネットがパンクしたとか。 「でも結婚したら、あんたの苗字”ぺ”ですから〜残念!!」 「ヨンちゃん ペ 斬り〜〜!」 ギター侍の歌が..
Weblog: ペパーミントの魔術師
Tracked: 2005-02-08 12:17
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。