恋愛小説家のもたらした皮肉

2006年04月09日
 先日、「恋愛小説家」という映画を観た。

恋愛小説家恋愛小説家
主演ジャック・ニコルソン
  ヘレン・ハント
音楽ハンス・ジマー

 映画のタイトルはいたって甘口なのだが、何も恋愛映画が観たくて観たわけではない。主人公の性格設定が、重度のOCDとして描かれていたからである。
 
 OCDとは、多種の強迫観念傾向の総称…だったかな。いわゆる潔癖症とか、確認傾向とか、…。

 詳細は当ブログ内で“ドアノブ”を検索して頂ければ判ると思う。 

 で、一人で観ているとまぁこれでもかというほど頷けるシーンが登場する。その回数ときたら、ドラマ「名探偵モンク」に匹敵するほどってとこか。

 甘口のムードとは裏腹に、どこか悲しくなるほど身につまされてしまう内容で、自覚有する鑑賞者は少々凹んでエンディングを迎える。

 実は映画の中で、と或る曲が繰り返しモチーフとして使われていたのだが、そんなこんなで鑑賞者”が凹んていると、その曲が再びエンディングで流れ、そっと癒してくれた。



 エンディングでその曲を歌っていたのはアート・ガーファンクル。甘い歌声が優しく、意味も判らないのになぜか癒される。

 Always Look on the Bright Side of Life♪
 人生、楽しいこと考えていこうよ!

 そんな意味だろうか。

 曲を聴いてすべてわかるほど英語に堪能ではないので、歌詞の和訳を色々と検索していたら、全訳を紹介してくれているサイトに巡りあった。

 英国通“らしき”ウェブマスター“ろーれる”氏のサイト
Merlin's Isle of Gramarye
◇Others◇
モンティ・パイソン
"Always Look on the Bright Side of Life"
 (映画『ライフ・オブ・ブライアン』より)


 OCD傾向を自覚する鑑賞者が歌詞を調べていたら、出会ったサイトは図らずも私のADD傾向を刺激し、興味は曲の歌詞からある映画に飛び火してしまった。



 「ライフ・オブ・ブライアン」って、一体何?

The Life of BRIAN by MONTY PYTHONThe Life of BRIAN
by MONTY PYTHON
モンティ・パイソン
「ライフ・オブ・ブライアン」

 検索して色々調べてみると、各方面でかなり絶賛されているらしいし、DVD版のASIN コードも存在しているのに、色々問題をはらんでいる作品らしく、発売予定はごにょごにょと誤魔化されてしまっている。

 観られないと判ると、余計に気になってくるな。

 “ローレル”氏の紹介してくれた台詞の一節が、さらに興味を抱かせる。

「人間ってのは無から生まれて無に還っていくってだけだろ?」

 死刑囚が死刑囚をそんな言葉で慰めるという。死を目前にした死刑囚が、人生気楽に行こうよと歌を歌うという。

 堪らん。堪らんモノがある、この皮肉。

 ふむ、これが堪らん私も、或る意味イギリス人傾向が強いのかな。まぁダーツやってるくらいだから自分でも納得できる。



 せっかくアート・ガーファンクルが癒してくれたのに、その癒しの歌がこれほどの皮肉に使われていることを考えると、慰められているのか、おちょくられているのか判らなくなってきた。

 映画「恋愛小説家」の中では、ヘレン・ハント演ずるウェイトレスに恋をしたジャック・ニコルソン演ずる主人公が、辞めていた通院と薬を再開する。

 それは、自分の抱える問題に前向きになろうよ…というメッセージにも思えた。だが、映画「ライフ・オブ・ブライアン」の状況設定までに至って考えてしまうと、また違ったモノまで痛感させられる。

 「人生には辛いことも色々あるものさ。人間には治らぬ欠点も色々あるものさ。どうにもできないことだってあるものさ。諦めなよ。諦めて気楽に行こうよ・・・」

 あぁぁ、何という皮肉な巡り合わせ。

 鬱に悩む人に「頑張れ」と言ってはいけないように、OCDに悩む人に「気にするな」と言っても意味がないような気がする。

 なんだかなぁ…。

 誰か?が言っていたけれど、やっぱ人生なんて、公園のベンチで見つけたケーキのようなモノかも知れんな。

記事⇒そのケーキ誰のモノ?



 ふと目にしたケーキが自分のモノだと思ってみても、本当は誰のモノだか判らない。

 ふと手にしたケーキを食べたところで誰にも叱られないだろうし、踏み潰したところで誰も怒らないし、でも美味しいのか気になるし、…。

 誰のかも知らずに紅茶を用意する人もいれば、美味しいかも知れないケーキを誰かに捧げる人もいるかも知れない。

 色々考えちまっただよ。日本語の「の」ってのはやっかいなもの。「の」がついていたからといって、所有格を表すとは限らないしな。

 私の命って言ったところで、私のモノとは限らないのだし…。ふむ、私の命が私のモノではないのなら、私の欠点も私の責任ではないと考えれば気楽になれるかも知れん。

 どうせ借り物の命である。

 スケート場でレンタルした靴が少々汚れていたって履いてしまえば滑るだけ。時間が来るまで滑るしかない。滑って楽しむしかないのだ。

 汚れているから取り替えろと文句を言っても、自分の滑走時間は過ぎてゆく。

 時間が来るまで楽しむだけってとこか。

 なんかまた人生感が変わっちまう結論である。これもまたADD故の気まぐれ傾向のお陰かも知れない。桑原桑原。
posted at 2006/04/09 04:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映像批評
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL
http://blog.seesaa.jp/tb/16331420
※確認及び承認されたトラックバックのみ表示されます。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。