歌舞伎父子の物語

2004年08月03日
フジTVの特番で放送されたそのドキュメンタリーは、芸や技を伝え受け継ぐ微妙な親子関係を垣間見せてくれた。

教える者と教わる者
 追う者と追われる者、そして
  役者が仕事の父とその息子たち

≪中村勘九郎一家  涙の花道 密着18年!≫
 中村屋中村勘九郎率いる平成中村座ニューヨーク公演(2004/7)の舞台裏と、先輩役者として彼を追う二人の息子勘太郎と七之助との長年の稽古風景のドキュメント。
 かつて、父勘三郎から受けた厳しい教えと変わった伝え方を交え、スタッフも含めた勘九郎一家の歌舞伎の日々を描いていく。

その中では、勘九郎が父勘三郎の独特な教え方を振りかえるのだが、その二人のユニークな共演の逸話がちょっと可笑しい。
 
父勘三郎は、
舞台の上だろうと、息子勘九郎をよく叱ったという。

二人がそのまま親子を演じる演目でのこと。二人が抱き合いハッピーエンドで終わるはずが、曲に合わせ鼻歌を歌ってしまった勘九郎に気づいた父は、観客目前で彼を殴り飛ばしてしまう。父は父役に完璧に入り込んでいた。

アドリブで息子を試したこともあった。
父は突然、「植木はどこで買ったんだい?」と尋ね、しどろもどろに「芝で…」と答えた息子に絡み続ける。後日先輩役者に秘策を授かった勘九郎が、「八幡様で…」と答えると、父は舞台の上で満足そうに笑っていたという。

台本の背景当時八幡様はどこにでもあり、場所としては一番無難な台詞だったらしい。

「台本の背景まで、勉強させたかったんだと思う。役に入り込んで欲しかったんでしょう」…と、勘九郎は振りかえる。
(2004/07/27/フジTV)

後半の、勘九郎、勘太郎、七之助による三連獅子は特に見事だった。

それにしても…、
ニューヨーク公演が成功したか否かは誰かの判断にまかせるとして、彼の後継者である二人の息子が歌舞伎が好きで好きで堪らないとしたら、歌舞伎伝承者としての彼の活動は成功していると言えるだろう。

“好きこそ物のなんとか”って言うが、「宿題しないと稽古させません!」と言われた幼い子供が、泣きながら父に許しを請うなんて情景は、凡人の私には理解できない。
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posted at 2004/08/03 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 放送批評
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