鉄塔のひと―椎名誠著

2009年12月27日
 12月27日、こんな本を読んだ。

鉄塔のひと―椎名誠著/新潮社―単行本 
 
 
  鉄塔のひと

 椎名誠著
 新潮社/単行本
・ねずみ・妻・とかげ・とかげ・おいでよ・やもり・抱貝・風雲欅台住宅・風呂とユーレイ・鉄塔のひと・たんねん洞 

 九月のある晴れた日、男は偶然見つけた古い鉄塔の上に小屋を建て、奇妙な空中生活を始める。やがて季節はめぐり、春がやって来たが……著者の子供時代の経験に重なる表題作をはじめ、見知らぬ女性が妻同様にふるまう「妻」、温泉で目撃した幽霊(?)についての「風呂とユーレイ」、怪しい洞窟に潜入する「たんねん洞」など、いずれ劣らぬシーナ的幻想世界が十連発!(帯紹介)


 こういうのを“シーナ的”というのか。どう表現していいのかと悩んでいたら、帯紹介にしっかり書いてあった。
 


 個人的には「風雲欅台住宅」に痛く感動、ってかフムフムクスクスってとこだが。
 
 町内会の回覧板や委任状に盲印を押して隣へ回すうち、やがて恐ろしい町内会規約が、いつのまにか決定されていたというお話。知らなかったという主人公には、知らなかった事が発覚した場合の重い罰則までが決定されていたことも伝えられ…。

 まぁあり得ないとは思いつつ、ふと何かが一つ思わぬ方向へ転んだら、そうあり得なくもないのではと思え、でもまぁやっぱあり得ないよな的なスレスレ具合が楽しい。

 昔読んだ別役実の「虫づくし」をふと思い出した。あれほどシュールでもないけれど、あのノリをやや軽くしたような雰囲気が悪くない。

 そして結構いい味だったのが「鉄塔のひと」。
 あとがきに作者自身も書いていたけれど、人はみな、いや特にかつて男の子だった人ほど、やはりみなそういった隠れ家志向みたいなものを持っているのかなと、ふと思う。そりゃ食い物の心配と雨風の苦労さえ解決するならば、私だって今すぐ鉄塔を探しにいきたい。

 で、鉄塔の上で歌うんさ。“ホームシックのブルース”をさ。ラングストン・ヒューズ作詩、作曲ガスのあの歌を。

 鉄塔が響かせるのは〜♪
  悲しい〜 悲しい歌〜♪

 原曲は鉄橋なんだけど、まぁ雰囲気似たようなもんだし…。

200912270727
posted at 2009/12/27 07:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍批評
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