つめたいよるに―江國香織著

2009年12月26日
 12月26日、こんな本を読んだ。

つめたいよるに―江國香織著/新潮社―新潮文庫 
 
 
 
 
 
  つめたいよるに

 江國香織著
 新潮社/新潮文庫
 
 デュークが死んだ。わたしのデュークが死んでしまった――。たまご料理と梨と落語が好きで、キスのうまい犬のデュークが死んだ翌日乗った電車で、わたしはハンサムな男の子に巡り合った……。出会いと別れの不思議な一日を綴った「デューク」。コンビニでバイトする大学生のクリスマスイブを描いた「とくべつな早朝」。デビュー作「桃子」を含む珠玉の21編を収録した待望の短編集。(裏表紙紹介)


 やはり買ってしまった。

 カクタさんの薦めるまま「デューク」を読みたくなり、絵本版ハードカバーを慌てて購入、慌てて読了したものの、その解説に活字版「デューク」を含んだ文庫版があると知り、またもや慌てて購入、慌てて読了。
 


 まずは一編目の「デューク」を再読。
 その印象のまま、一編それぞれが十頁弱の掌編を次へ次へと読み進んでいく。ふと、これは小説ではないなと思った。

 短編集ではあっても短編集と呼ぶにもどこか違和感を感じるし、では内容からしてもやはり童話集であろうと考えても、安易に童話集という括りを当てはめるのも微妙に抵抗を感じる。あれこれ考えながら読み進むうち、あぁこれって詩集なのかぁと思った途端、もやもやが落ち着いた。

 そう思いなおすと、言葉一つひとつの使い方、その言葉の響き一つひとつの選び方に醸しだされる独特な雰囲気に納得する。

 ふ〜ん、こういう詩集もあるのかぁ…と、詩集などほとんど読んだこともない者が感心しながら読了。



 作品一つひとつにおいては、とてもロマンティックなものもあれば、普通で考えればちょっとシビアな内容をメルヘンティックに描くという不思議なものまであって妙に幅が広くて面白い。

 動物だった前世を次から次へと思い出していく「いつか、ずっと昔」という話や、夜な夜なこっそり遊ぶ親たちを子供の驚きの目線で描いた「夜の子どもたち」などといったメルヘンティックな作品と、それらとは対称的に、愛人とおぼしき男性と彼を部屋に迎える女性を飼い猫の目線で語っていく「藤島さんの来る日」や、一人の男性の恋人と正妻とが食事を共にして対峙する場面をさらりと描いた「冬の日、防衛庁にて」などといった作品が、まるで同じ分類のごとくに収録されているのが、とても意外だった。



 ふと気がついた。
 こうして振り返ってみて、今になってやっと気がついた。この本、まるで子供向けのごとくに甘〜く味付けされたガムシロップ風味の、大人用の風邪薬だったのだろう。

 小児用風邪薬、ただし対象年齢は20歳以上ってとこか。すっかり飲み込んでからやっと気がついただよ。


 ちなみに個人的には、「ねぎを刻む」にすっかりしみじみ。明日にもネギを買いに行こうかとマジで考えている次第。



 買っていながら、そしてすっかり読み終えていながらも、いまにして不思議に思う。何でまたこんな本を選び読んだんだか…。それは後悔ではなくて、普段であれば到底選ばなかったはずの部類の本を、ふと選んだ自分が今にして不思議だということ。

 まずは「デューク」を教えてくれたカクタさんに感謝。
 例の「ごきぶり ごひきで ごひゃっぴき」のカクタさんに…。

200912260651
posted at 2009/12/26 06:51 | Comment(1) | TrackBack(0) | 書籍批評
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Posted by 藍色 at 2010年09月27日 10:21
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