死体は語る―上野正彦著

2009年12月25日
 12月25日、こんな本を読んだ。

死体は語る―上野正彦著/文藝春秋―文春文庫 
 
 
 
 
 
  死体は語る

 上野正彦著
 文藝春秋―文春文庫
 
 偽装殺人、他殺を装った自殺……。どんなに誤魔化そうとしても、もの言わぬ死体は、背後に潜む人間の憎しみや苦悩を雄弁に語りだす。浅沼稲次郎刺殺事件、日航機羽田沖墜落事故等の現場に立会い、変死体を扱って三十余年の元監察医が綴る、ミステリアスな事件の数数。ドラマ化もされた法医学入門の大ベストセラー。(裏表紙紹介)


 この本も以前から興味はあったものの、なぜか手に取らなかった一冊。だがこれほどまでに面白いとは…。
 
 ふと、横山秀夫氏の「臨場」を読んでいるような気分に。どう考えても「臨場」の続編である。いやもとい、出版日時から考えれば、上野氏のこの本の続編が「臨場」ということになるが…。

 何も、“横山秀夫氏の「臨場」ってこれを参考にしたんじゃね?”なんて厭らしい指摘をしてるわけでもなく、まさに事実(上野氏作品)は小説(横山氏作品)よりも…と驚いているだけである。

 それぞれの違いは、経験か創作かであり、事実か小説かなのだけれど、経験に基づく随筆と考えて読んでいたにも関わらず、私は不覚にも途中何度か涙してしまった。



 百二十八頁、「ミカン」と題された一節が忘れられない。
 案内され部屋に入った監察医は、一歳ほどの子供を抱いて乳を飲ませている母親の姿に、一瞬部屋を間違えたと思って警察官の顔を確かめる。すると警察官は唇を震わせながら、その母親が検死の対象であることを知らせたという。

 状況をリアルに想像してしまい、一旦頁を閉じてしまった。しばし放心。

 仕事とはいえ、やはり時には辛いこともあるのだろうにと思いつつ、再び読み進むと、仕事とはいえ、やはり辛すぎることもあるらしい記述が続く。

 現場から現場へと急ぐべきところを、ドライバーは徐々に速度を落とし、やがて「先生、少し待ってください。すみません」と云って車を止めてしまう。涙で運転が出来なくなったのだという。

 ダメだ…、読んでられぬ。再び頁を閉じてしばし放心。
 涙を堪えてる時というもの、誰かが堪えられなくなって涙したのを見てしまうと一気に涙が噴き出すこともよくあるが、本の中のそのドライバーにつられてしまい再び放心。「先生、少し待ってください。すみません」と本を読んでるこちらがお願いする始末。なんだかなぁ。



 全編通してそれほど涙するような作品でもないし、そんな泣きのポイントは私個人だけとしても、各種専門用語や詳細な状況などに関しては、参考にしている推理作家もかなり多いことだろう。

200912251539
posted at 2009/12/25 15:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍批評
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