空中ブランコ―奥田英朗著

2009年12月09日
 12月9日、こんな本を読んだ。

空中ブランコ (文春文庫)
  空中ブランコ

 奥田英朗著
 文藝春秋社/文春文庫
  ・空中ブランコ
  ・ハリネズミ
  ・義父のヅラ
  ・ホットコーナー
  ・女流作家

 伊良部総合病院地下の神経科には、跳べなくなったサーカスの空中ブランコ乗り、尖端恐怖症のやくざなど、今日も悩める患者たちが訪れる。だが色白でデブの担当医・伊良部一郎には妙な性癖が……。この男、泣く子も黙るトンデモ精神科医か、はたまた病める者は癒される名医か!? 直木賞受賞、絶好調の大人気シリーズ第2弾!(裏表紙紹介)

 第一作の『イン・ザ・プール』を読んでしまったゆえ、つい買ってしまったが、やっぱおもろい。
 
 前作では『いてもたっても』に登場した確認癖の男に己の姿を垣間見たが、今作では『女流作家』に登場した心配症に陥る女性作家に、強迫症の自分の姿を見てしまった。

 どっちの話にしろ、結局は同様の症候群なのだけれど、己に似た要素でクスクスと笑える部分と、あまりに似すぎて笑うに笑えない部分とが入れ替わり見え隠れし、結局は平均してあまり笑えない読後感に浸る。まぁそんなどっちつかずの妙な感覚すら、最後には笑ってしまうのだけれど、やはり複雑は複雑。

 そんな変な感じな全体の印象の中で、最後の話『女流作家』の最後の二頁で私は不覚にも泣いてしまった。こんな作品で涙するなんて、私くらいかもしれぬ。なんだかなぁ。

 ところで、その思わず涙してしまったエンディング直前の数頁。若干雰囲気が変わっていた気がするのは私だけだろうか。作家を題材にした話だけに、作家である作者の本音が、主人公が食べた物を吐き出してしまうシーンのごとく力を込めてぶちまけられているようにも思えて、その部分だけの妙な迫力にふとそこだけ別の本を読んでいるような気がした。
 やっぱあれって、物書きの本音なのだろうか。

 すでに購入済みのシリーズ第三作『町長選挙』が、本棚で私を呼んでいる。
200912090345
posted at 2009/12/09 03:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍批評
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