交わらぬ平行線上の大運動会

2006年02月13日
 あぁそれにしても、2年に一度必ずや思い起すこの問題。

 オリンピック
  日程…2006年2月10日〜26日
  場所…イタリアトリノ
  主催…IOC

 パラリンピック
  日程…2006年3月10日〜19日
  場所…イタリアトリノ
  主催…IPC

 同じ年同じ場所で開催しながら、どうして完全共催にはならないのだろう。IOCが暗黙に拒んでいるのか、それともIPCが何かを遠慮しているのか。

 細かい問題を知りもせずこんな理想を偉そうに語る私は、やはり偽善家の一人と片付けられてしまうかも知れぬ。
 


 ウィキペディアで調べてみると、パラリンピックの名称には皮肉にもそんな状況を暗示する意味が含まれていた。

≪「パラリンピック」の名称について≫
 「パラリンピック」の名称は、半身の不随(paraplegic)+オリンピック(Olympic)の造語だが、半身不随者以外も参加するようになったため、1985年から、平行(Parallel)+オリンピッ(Olympic)で、「もう一つのオリンピック」と解釈することになった。
秀逸なウィキペディアより

 関係ないがこのウィキペディア、いかにももっともらしい文体が好奇心をもてあそび、何かすべてを知り尽くしたと錯覚させられてしまうから恐ろしい。桑原桑原。

 「平行ねぇ。平行ってのは、永遠に交わらない状態のことを言うんだろ。…まったく、救いのない言葉だな」

 あぁ、ということは、この二つの全世界大運動会は、結局ずっと平行線を辿る運命なのだろうか。真剣に救いが無さ過ぎる。



 そう言えば最近、どこぞのホテルチェーンの社長が泣いて詫びていた。だが或る意味、まさに特別な意味ではあるが、彼も正直者の一人だったのかも知れない。

 純粋に自社の都合と営利だけしか見えなくなった経営者の本音。最初の会見には、そんな本音がまったく恥ずかしげもなく、それどころか開き直るように彼の口から噴き出していた。

 正直に言えば、私だってそりゃふと思う時がある。

 例えばデパートの駐車場。
 駐車スペースは満杯でどこにも駐車できず、なのにエレベーターに一番近い駐車スペ−スがパイロンで塞がれ、白いペイントで車椅子マークが記されていたら、そのスペースはまったくもって羨ましいものである。「誰か障害者手帳持ってない?」…などと不謹慎なジョークさえ私なら口にする。

 例えばネズミーランド。
 文句も言わずに何時間もじっと列に並んでいると、車椅子が横をすり抜けていく。「いいなぁ。俺も脚が痛いから車椅子に乗ろうかな」…そんなジョーク、あの長蛇の列では一日一回は誰かが口にしてそうである。

 だが、デパートの駐車スペースにしても、ネズミーランドのシステムにしても、それを不公平だと思ったことはない。ジョークなんて、そんなもっともらしいことを単にカモフラージュしているだけなのだし。

 心の中の不公平感を―それは単なる本人の思い違いであるとしても―世間体も気にせずに口にする者と、心の中の不公平感を世間体を気にして口にせず、ただ微笑み沈黙する者と、純粋に不公平感をまったく感じない者と、そして…。

 感じる者、感じない者、露にする者、しない者。誰が正直で、誰が偽善家で、誰が慈善家で、誰が自分勝手なのか。私にはやはり判らない。

 とはいえ、常識ではパイロンも動かさないし、嘘ついて車椅子に座ろうなどとも思わない。

 「それは普通できんだろ。常識があれば…」



 以前の記事でも触れたことかも知れないが、かつて障害者ダーツの大会を主催した方の話を聞いたことがある。彼ら、つまりは障害者ダーツプレーヤーを迎える健常者主催者側の話として、微妙な意識の問題の拭えない複雑さを教えられた。

 「会場の階段一つとっても、『大丈夫、みんなで手伝うから心配しないで参加してごらん』と言っても、皆が皆その気持ちを受け入れてくれるわけじゃないんですよ。遠慮という言葉で片付けられることでもないけど、やはり誰かの手を借りるということに対する抵抗感が、参加者には重く圧し掛かるらしいです。」

 難しい。難し過ぎる。そんなことを聞くと、つい触らぬ何とかなどという気持ちになってしまう。黙って微笑んで何もせずに見て見ぬフリをするのが、一番妥当などと思ってしまう。

 まったく関係なく、ことのほかとりとめもなくふと思い出した。
 高校の吹奏楽部での初演奏会のこと。ホルンを演奏していた私の近くに座っていた、たった一人のオーボエ奏者である友人が、一番重要なソロのパート部分で音がでなかった。

 演奏直後、「どした?」と一言尋ねた私に、彼は「うるさい!」と一言。単純な想いが単純には通じないことを思い知った瞬間だった。冷静に考えれば私も同じ言葉を返し、すぐに一人になりたかったかも知れない。



 色々考えていると、記事はとりとめもなく逸れて行く。余談ついでに最近正直に感じたことをまた一つ。

 そう言えば、“巨人”って言葉は差別にはならないのか…。小人症に悩む人が居るから、“小人”という言葉は最近では差別的な表現とされている。昔の「白雪姫と七人の小人」だって、いつのまにか「白雪姫と七人のドワーフ」になっている。

 しかし、小人症同様に巨人症の人の為にだって、同様の置き換えは必要とはされなのだろうか。

 背の高い人が気にしないから?
 背の高いことはメリットだから?
 背の高い人はモテルから?

 そんなことは理由になるまい。背の高さだって悩む人も悩んでいるはずである。だとすれば、巨人軍が名称変更を余儀なくされる日も遠くないかも知れぬ。

 「背が高くて悩む人など、居るか居ないかも判らないのに、そんなことは気にしなくてよい!」などと言ってしまえば、「その手のお客なんて、一年に何人もこないから」等と言い訳けしたどこぞのホテルチェーンの社長と同じになってしまうではないか。



 背の低い私は、手が届かぬ物は背の高い人に取ってもらうだろうし、脚の遅い私は、泥棒がいたら脚の早い人に追いかけてもらうかも知れぬ。

 しかし、背が低くても脚が遅くても、同じ電車に乗り、同じ会社に通い、同じ仕事をして、同じネズミーランドに行く。皆そうであるはず。

 パラリンピックに出場する選手などはみな、職場も生活環境も同様に健常者と大して変わらないはず。なのに、オリンピックは別だなんて、おかしな話である。

 単なるありふれた身体的特徴の一つとして、どうして一緒にできないのか。私には判らない。柔道や重量挙げの体重別階級のごとくでいいではないか。 

 何も行動せずそんなことばかりを語るだけの私は、やはり偽善家と何も変わらないのだろうな。偽善家と呼ばれて結構。思って黙っている者よりはマシだと考えている。

 何もせず何も言わずに居れば、平行線はやはり永遠に交わらないのだし。



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posted at 2006/02/13 01:12 | Comment(4) | TrackBack(0) | 雑題雑想
この記事へのコメント
こちらへはご無沙汰です。
すっかり、オリンピックが始まってしまいました。
時が経つのは…ですね。

私も?偽善者なので、企業のイメージ広告と思いながらも、ポチっとなぁとやっちゃう方です。

あとは、本屋さんのお釣かなぁ?1円とかもらうと横の箱にチャリっと…。

自分のココロは狭い方かと思います。(爆)
Posted by KaN at 2006年02月13日 22:27
>KaNさん、ポチっとね!
まぁ、わざわざあの手のキャンペ−ンサイトを探す人も少ないだろうけれど、レジ横の箱みたいにあちこちにバナーがあったなら、もう少しクリックされるだろうにねぇ。

ココロですか? 狭いですなぁ私も。
まったくもって小っちぇ人間ですしね。

ところで、募金箱の話にコンビニではなく本屋が出てくる辺り、本棚は広そうですねぇ。
Posted by 映太郎 at 2006年02月13日 23:47
本棚を実は持ってませ〜ん。(汗)なので、欲しいなぁ?と。

本は積読(つんどく)もんだと思ってます。(爆)
Posted by KaN at 2006年02月14日 23:23
>KaNさん、毎度です!
本棚は持ってます。部屋を飾るモンだと思ってますから。だから何年も飾りモンは変わりません。
Posted by 映太郎 at 2006年02月15日 01:08
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