兜町に蔓延るオトギ話のネタ

2006年01月22日
  ≪金の斧と銀の斧≫

 昔むかしある処に正直者の男がおった。ある日彼が池の近くで木を切っていると、手が滑り斧を池に落としてしまう。すると突然池の精が現れ、金色に輝く斧を見せ彼に尋ねた。
「あなたの落とした斧はこれですか?」
「いいえ、それは私のものではありません」
 正直者の男は喉から手が出るのをぐっとこらえて否定する。池の精は次に銀色に輝く斧を差し出し再び彼に尋ねた。
「では、これですか?」
「いいえ、それも私のものではありません。」
 正直者の男はつばを飲み込み否定した。すると池の精は使いふるされた木の斧を差し出し、またもや彼に尋ねた。
「ならば、まさかこれですか?」
「はい、それこそが私の斧です。」
 正直者の男は肩を落として頷いた。それを聞いた池の精は、彼の木の斧と共に金銀の斧をも差し出し言った。
「あなたは正直者です。褒美にすべて差し上げましょう。」
 正直者の男は、三本の斧を抱え幸せそうに山小屋に帰っていった。

 その様子を見ていたある姑息な男が考えた。ふむ、私も是非試してみるか。
 
 次の日、姑息な男は家で一番切れない斧を抱えて池の近くにやってきた。そしておもむろに男は斧を池に放り込む。
 そこへ期待通りに池の精が現れ、金色に輝く斧を差し出し彼に尋ねた。
「あなたが落とした斧はこれですか?」
 男はニタリと笑いながら頷いた。
「はい、それに違いありません」
 池の精は急に表情を変え言った。
「嘘をついてはいけません!」
 池の精は彼には何も渡さず、池の中に消えてしまった。姑息な男はがっかりしながら山小屋に帰っていった。

 さて、その二人の話を聞いたずる賢い男が考えた。
「お前ら、まったく要領が悪いなぁ…。」
 次の日、ずる賢い男はそこそこの斧を十本ほど抱え、池の近くにやってきた。そしておもむろに池に一本投げ込んだ。
 すると彼の想定通りに池の精が金の斧を持って現れ、彼に尋ねた。
「あなたが落とした斧はこれですか?」
 ずる賢い男は内心想定通りと思いつつ、ニヤリと笑って否定した。
「いいえ、違います。」
 すると池の精は、あいも変わらず順番通りに銀の斧を差し出し彼に尋ねた。
「ではこれですか?」
 ずる賢い男はまたもや想定通りという顔で否定する。
「いいえ、違います。」
 すると池の精は正直者の時と同じように彼を褒め称え、金と銀と木の三本の斧を彼に差し出した。

 ズル賢い男はそれだけでは帰らず、池の精が池に消えるやまた木の斧を投げ込んだ。池の精はあらためて現れるとまたご丁寧に初めから繰り返す。
「あなたの落とした…」
 彼が木の斧を投げ込み、池の精は尋ね、彼が否定し、池の精が尋ね、否定し・・・・・。

 やがてそのうち池の精の顔色が変わり始めた。彼が九本目の木の斧を手に、池の精が消えるのを待っていると、池の精はもう面倒臭いから次をどうぞと吐き捨てた。
 ズル賢い男はそれでは遠慮なくと、残り二本を池の精に手渡す。池の精はいい加減馬鹿馬鹿しくなり、何も言わずに金と銀の斧を差し出し、黙って池に消えてしまった。
 ズル賢い男は池に向かって言った。
「明日は百本持ってきますので、よろしくお願いしますね!」

 ズル賢い男は翌日百本の斧を持って池を訪れ、また次の日はいい加減疲れたのか、十本の斧を持って再び金銀の斧をせしめにやってきた。 

 最後の最後、百二十本目の金銀の斧を手渡した池の精は彼に言った。
 「もう処理能力が限界です。明日は取引停止とさせて頂きます。」



 日々TV各局のライブドア関連報道を見ていると、画面を眺める私の頭の中にはどうもオトギ話の主人公が色々現れて仕方がない。

 おとぎ話に出てくる欲張りな王様なんて、ちょっと太っていて、どこか自信満々で、でも少しだけ臆病そうな顔をしている。ふむ、やはり誰かに重なってしまうではないか。

 まぁ先のお話にはそんな王様は出てこないが、とはいえ株式100分割なんて前例のない手法が合法ではあっても限りなく悪意に満ちた意図をはらんでいる…などという、コメンテーターの話を聞いていたらふと浮かんできたので、オトギ話を色々置き換えながらダラダラと書いてしまった。

 次回は、触ると何でも金になるという欲張りな王様のお話でも置き換えてみるかな。まったく、何にでも置き換えられそうな気がしてくるから面白い。

 てか最近この手のパクりモンばっかな気がする。こんなモン書いてるから、まともな物語が書けんのかも知れん。反省。
posted at 2006/01/22 15:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑題雑想
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