滑るな!落ちるな!気にするな!

2006年01月19日
 世の中そろそろ、言葉使いに気をつけなくてはならない時期である。

 全国のスケート場は営業停止。遊園地も一部引力作用を利用したアトラクションは運用停止。テレビでは洗剤の広告CMも放映禁止。汚れがどうのという効果については一切語ってはならない。

 かつて実話らしい漫才ネタがあったっけ。

 漫才師コロンビア・トップがたぶん参院選か何かに出馬した時の話。選挙運動中の彼がふとテレビをつけると、どこぞの企業の“トップ”という名の洗剤広告のCMが放映されたという。CMナレーションは画面の前の彼にあっさりと言い切った。
 
 「トップは落ちる!」

 彼が結局当選できたのかどうかはあまり覚えていない。まぁネタにするくらいだから、そのオチはどう考えても想像通りの“オチ”であったはずである。

 ふむ、オチという言葉も気にすればやはり彼らにとっては恐ろしい言葉であろう。だとすればオチが必ず用意された若手漫才のネタなんてものさえ耳にしてはならないだろうし、オチが際立ったショートショートも読んではならないわけだ。

 受験生を多く見込んだ全国の書店は、ショートショートの大家星新一のタイトルを、この時期に限り全て倉庫に仕舞わねばならないではないか。



 さて、こんなブログ記事を読みかけてしまい、慌ててブラウザを閉じた受験生もいるのだろうか。たぶんそんな読者はもうこの行を読んでいないのだろうけれど、そんな言葉を気にするくらいであってはならない。

 まぁ裏返せばそういう信者がいるからこそ、お菓子メーカーがこぞって受験生向けのチョコやスナック菓子を発売するのだろう。キットカット、ウカール、それから…、何だっけか。

 ふむ、禁句を逆手に取る企業が一つくらいあっても面白いのだが、そんな勇気のある会社はないのだろうか。

 “強風にさらされても落ちなかった梨を、お守り代わりにどうぞ”なんて、どこかの農産地の宣伝文句も耳にしたことがある。

 フリーシュガードリンクがシュガー抜きで、フリーカフェインがカフェイン無しなしなら、さしずめフリーフォールは“フォール無し”。

 「フリーフォールに乗って、
  もう君は絶対落ちません!」…とか。 

 やっぱ無理かもな。まぁワクチンだと想う人が一人くらいはいてもいいのだが、わずかな人間を当てにしても商売にはなりそうもない。



 かつて私はサンフランシスコに留学した友人を訪ね、現地の中華料理店で中華を食べた。

 シスコの中華料理店では、食後に当然のようにフォーチュンクッキーが出される。初めての経験でわくわくしながら開いた記憶がいまだに鮮明に残っている。クッキーに挟まれた細長い紙を開くと、そこに(まぁ当然なのだが)英語で一言記されていた。

 STAY CALM ,
  AND CONFIDENCE WILL LEAD YOU ON .

 占いのような、教訓のような、励ましのような、信頼する老人の優しい言葉のような、小さな紙切れに書かれた何気ない言葉。

私「カームって何だっけ?」
友「ステイカームで落ち着けってことだろ、たぶん…。」
私「そっか、じゃコンフィデンスって何?」
友「自信とかじゃないかな…。」
私「そっか、じゃこれってどういう意味?」
友「自信を持って落ち着いて行動すれば、
  おのずと道は開けるってとこじゃないかな…。」
私「そっか…、ふむ…、そうかぁ…。」

 そのクッキーを誰が選んだのか、それはそれは耳にも心にも痛い言葉であった。

 たった一言の言葉と偶然に出くわす縁というもの、まったく不思議に感じた記憶が、共に残って消えない。



 この記事を最後まで読んでくれた受験生にあえて再び贈る。

 STAY CALM ,
  AND CONFIDENCE WILL LEAD YOU ON .

 この一言の言葉で、“滑る”だとか“落ちる”だとか、はたまた“失敗する”なんて些細でどうでもよい言葉を、ふっと吹き飛ばして欲しい。
posted at 2006/01/19 03:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑題雑想
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