ワンダー・ボーイズと作家の憂鬱

2004年11月11日
「ワンダー・ボーイズ」
(1999年アメリカ)
監督:
カーティス・ハンソン…「8 Mile」
出演:
マイケル・ダグラス…「氷の微笑」
トビー・マグアイア…「スパイダーマン」
ロバート・ダウニー・Jr…「オンリー・ユー」

かなり前に見たのだが、ふと思い出した。
深夜枠で放映されたその「ワンダー・ボーイズ」という映画、変な映画と想いつつも結構笑って心に残る。

≪大学の文学部で教鞭をとる元人気作家の教授(マイケル・ダグラス)と、彼に新作を求めに来るとぼけた編集者(ロバート・ダウニー・Jr)、さらに教授の教え子(トビー・マグアイア)の三人が、絡み合い意気投合しちょっとした騒ぎを巻き起こす。≫…そんな雰囲気のソフトコメディである。

マイケル・ダグラスが相変わらず妙な雰囲気を出している。一度はヒット作を出版するも、次が書けず落ち込み気味の疲れた教授役が他の作品の役にも重なってくる。
あの雰囲気は彼の地なんだろうか。

編集者役のロバート・ダウニー・Jrはどこかで見たことあると思い調べてみると、「オンリー・ユー」の靴屋の青年ではないか。彼は彼で、どっちの映画でもお調子モンの役どころを受け持っている。
あの雰囲気は彼の地なんだろうか。

教え子のくせに教授を差し置いて出版のチャンスを物にする学生役は「スパイダーマン」のトビー・マグアイアである。さすがにこの映画では蜘蛛の糸は出さないが、“ちょっと暗くて変わったことをしでかす青年”って役は似てなくもない。
あの雰囲気は彼の地なんだろうか。

  −・−・−・−・−・−

ところでこの映画、夜中に一人で静かに見ていたのだが、一箇所だけ吹き出して大爆笑してしまった。

作家と編集者が車で何かを尋ね回るシーンがあった。
ふとしたことで訪ねた相手と言い争いになり、相手は銃を出す。二人に向けられた銃から逃げようと編集者は慌てて車を走らせるが、閉め忘れた扉から作家の原稿を撒き散らす。風に舞う数千枚の原稿。呆然と立ち尽くす作家。銃を構えていた言い争いの相手まで呆れた顔で見ている。

茫然自失の作家はポツリと言う
「SHOOT’IM 」
(ヤツを撃ってくれ!)

まぁ、ストーリーでは撃ちはしないが、作家という人々は本当にそんなことを言いそうだと思った。

  −・−・−・−・−・−

作家という職業を憧れている。

「いいなぁ、どこでも仕事できて…」

家賃が安い所で、景色や環境がいい所で、通勤の苦労や電車賃が掛からない所で…、そんな所でも机と原稿や今ならPC一台あれば原稿書けるのだから、どこでも仕事ができていいなぁ…。

私の憧れは、一般的な動機と若干異なる。
動機が不純か、
それどころか作家じゃなくてもいいではないか…。

  −・−・−・−・−・−

それにしても、作家という人々は

「原稿を失ったら全く同じものが書けるのか」

…そんな疑問が時々湧いてくる。

疑うつもりはないが、その季節その瞬間の作家の考え方が反映されるとしたら、ちょっとでも時が変われば内容は変わらずとも、そのタッチや言葉に変化は出ないのか。

例えば1年後、同じ作品を書いてもらったとしたら、使う言葉や句読点の位置に漢字とカナの使い分け、それらをどれだけ再現できるのだろう。

  −・−

私など、PCのメモ帳で書いてる原稿を保存し損なっただけで、へたをすると内容の結論まで変わりかねない。随想のような内容は半日もたてば忘れてしまうこともある。
頭の中にずっと存在する絶対的なモノを書き写しているわけではないからだ。

そんな私でも、ずっと前から文字にしたいと思っていることだって無いわけではない。そういう考えは、その考え方に変わりがない間ならおおよそ同じものが書けるはずだ。だが、タッチや言葉使いはきっと全く違ったモノになるだろう。

  −・−・−・−・−・−

映画の作家は、数千枚書いても結末に達しなかった原稿を風に飛ばし、一度は途方に暮れるが教え子の出版に刺激され、エンディングでは人生をリセットする。

原稿を書くうちにいつしか原稿に縛られていたのか、呪縛から解き放たれたようだった。RPGの世界を彷徨い続け、どうしてもエンディングに到達できない子供が、親にリセットボタンを押されてしまったようだ。

  −・−・−・−・−・−

最近ブログのカレンダーに縛られている気がしてならない。
ある日突然ブログサーバーがシステムダウンしてデータを失ったり、まさかブログサービス会社が潰れるなんてことになったら、途方に暮れる作家たちはどれだけいるだろう。

想像するとなんだか憂鬱になってくる。
ブログのローカル保存の回数が増えそうだ。
posted at 2004/11/11 13:50 | Comment(2) | TrackBack(0) | 映像批評
この記事へのコメント
初めまして。
記事、おもしろいから読みふけってしまいました。
普段ほとんど本は読まないんですけど
本にしてもこういう記事にしても
読んでて疲れないものがいいですネ。
また遊びに来ます。

Posted by ちぃ at 2004年11月11日 15:23
>ちぃさん、はじめまして!
私も本は読みません。全くというほどです。

「おもしろくて読みふけって…」とは、まことに嬉しい言葉ですね。ありがとうございます。

この言葉、今後の励みに致します。
Posted by 映太郎 at 2004年11月11日 16:20
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